著者
東 修平 森田 雅文 真野 翔 本橋 宜和 吉井 康欣 土田 隆雄
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.52-57, 2020-03-15 (Released:2020-04-03)
参考文献数
6

[目的]Stanford A型急性大動脈解離(AAD(A))において,全弓部人工血管置換術(TAR)の際の左鎖骨下動脈再建(LSCA)については,症例によっては,深い視野での操作になり,剥離や吻合に難渋する症例や左反回神経麻痺や血管損傷を含めた合併症のリスクを伴うことも多い.今回われわれは,AAD(A)に対するTARにOpen Stent法を併施する際に,LSCAを再建せずに,Open Stent Graftのstenting portionにLSCAの入口部に合わせて開窓を作製し,遠位吻合を左総頸動脈(Lt. CCA)とLSCAの間(ZONE 2)に行う当院独自の自作開窓型オープンステント法としてIn Situ Fenestrated Open Stent Technique(FeneOS)を考案し,有用な成績が得られたので報告する.[対象・方法]2008年1月から2019年8月までに当院で施行したAAD(A)に対するTAR 144例(男性64名;女性80名,平均年齢71.9歳±12.3)を対象とし,上記FeneOSを施行した群47例(FeneOS群)と通常の脳血管3分枝の再建を行った97例(non-FeneOS群)の2群に分けて分析した.[結果]早期成績として,手術死亡(FeneOS群/non-FeneOS群=4.3%/5.2%)と有意差は認めず,両群ともに満足のいく結果であった.手術時間,選択的脳灌流時間,人工心肺時間,下半身循環停止時間については,FeneOS群で有意に短かった(p<0.05).FeneOS群全例において,術後遠隔期も含め,LSCAの血流に問題は認めず,術後反回神経麻痺も認めなかった.[結語]FeneOSは,LSCAを剥離して再建する必要がないことから,弓部3分枝再建に要する時間の短縮のみならず,左反回神経麻痺や血管損傷を含めたリスク回避において,AAD(A)におけるTAR時の有用な手術手技として選択肢になり得ると考える.
著者
打田 裕明 小西 隼人 本橋 宜和 垣田 真里 禹 英喜 佐々木 智康 三重野 繁敏 大門 雅広 小澤 英樹 勝間田 敬弘
出版者
The Japanese Society for Cardiovascular Surgery
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.120-123, 2013

薬物使用歴のある成人に発症した,三尖弁位感染性心内膜炎に対して,弁形成術を施行した1例を報告する.症例は20歳男性.発熱を主訴に受診し,肺膿瘍を合併した三尖弁位感染性心内膜炎と診断され,抗生剤による加療が行われたが,炎症所見の遷延を認めた.血液培養から,黄色ブドウ球菌を検出,心臓超音波検査では三尖弁に疣贅と三尖弁閉鎖不全を認めた.肘部に多数の注射痕を認め,詳細な問診を行ったところ,覚醒剤の自己注射歴が判明した.抗生剤治療に抵抗性の感染性心内膜炎に対して,三尖弁形成術を行った.経過は良好で,術後2週間で独歩退院したが,予定された外来の受診はなく,術後も覚醒剤所持で逮捕されている.覚醒剤の再使用,術後の投薬管理の点から術式に一考を要した.