著者
森田 琢也 花岡 伸治 佐藤 澄 市橋 良夫 越智 薫 勝間田 敬弘
出版者
一般社団法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.832-835, 2014-09-15 (Released:2014-10-03)
参考文献数
3

症例は多発性外骨腫のある12歳男児.外傷の既往なく胸痛発症後1ヵ月に血胸をきたし緊急手術を行った.開胸時壁側胸膜と臓側胸膜の双方から出血を認め,胸腔内に突出した第6肋骨の一部と肺中葉臓側胸膜の癒着の破綻が出血源と考えられた.手技は壁側胸膜の止血と肺部分切除術を行うにとどめ,胸腔内突出は軽度であったことから骨切りは行っていないが,術後1年3ヵ月の経過観察期間中,血胸の発症は認めていない.外骨腫による血胸の報告数自体が少ないこともあり術後再発や反対側発症の報告は見当たらず,手術時の適切な対応に関するコンセンサスも得られていない.呼吸器外科医は多発性外骨腫が外傷のない小児血胸の発生原因となることを知らねばならない.
著者
打田 裕明 小西 隼人 本橋 宜和 垣田 真里 禹 英喜 佐々木 智康 三重野 繁敏 大門 雅広 小澤 英樹 勝間田 敬弘
出版者
The Japanese Society for Cardiovascular Surgery
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.120-123, 2013

薬物使用歴のある成人に発症した,三尖弁位感染性心内膜炎に対して,弁形成術を施行した1例を報告する.症例は20歳男性.発熱を主訴に受診し,肺膿瘍を合併した三尖弁位感染性心内膜炎と診断され,抗生剤による加療が行われたが,炎症所見の遷延を認めた.血液培養から,黄色ブドウ球菌を検出,心臓超音波検査では三尖弁に疣贅と三尖弁閉鎖不全を認めた.肘部に多数の注射痕を認め,詳細な問診を行ったところ,覚醒剤の自己注射歴が判明した.抗生剤治療に抵抗性の感染性心内膜炎に対して,三尖弁形成術を行った.経過は良好で,術後2週間で独歩退院したが,予定された外来の受診はなく,術後も覚醒剤所持で逮捕されている.覚醒剤の再使用,術後の投薬管理の点から術式に一考を要した.