著者
須田 和義 川崎 俊一 本橋 行 後藤 悦久
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.31-34, 2017 (Released:2016-12-26)
参考文献数
15
被引用文献数
2

80歳以上の高齢者にも経肛門的直腸異物症例は存在するが,本例は従来報告の中でも性的動機では最高齢になる.また,女性体型をかたどったペットボトルという特徴的な異物であり,無麻酔下用手経肛門的に摘出できた1例である.症例は85歳男性で,『香水の瓶』が取り出せないという主訴で来院した.指診上,肛門縁約10cmで異物端を触知し,直腸鏡,画像とから,中間部がくびれた形状で,内容物を有した容器様の異物が開口部を下にして骨盤内に認められた.側臥位にて腹部圧迫し,直腸内の示指で異物端を適切な方向に向けつつ,異物を肛門側に押し進め,摘出することができた.異物は,約20×7cmのペットボトルで女性のボディラインを再現した形状で,そのくびれはウエストに模した部分であった.今後も常習性の高齢者症例は増加する可能性がある.リスク教示のみならず,安全な使用を是認せざるを得ない場合もありうる.
著者
須田 和義 川崎 俊一 本橋 行 後藤 悦久
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.31-34, 2017
被引用文献数
2

80歳以上の高齢者にも経肛門的直腸異物症例は存在するが,本例は従来報告の中でも性的動機では最高齢になる.また,女性体型をかたどったペットボトルという特徴的な異物であり,無麻酔下用手経肛門的に摘出できた1例である.症例は85歳男性で,『香水の瓶』が取り出せないという主訴で来院した.指診上,肛門縁約10cmで異物端を触知し,直腸鏡,画像とから,中間部がくびれた形状で,内容物を有した容器様の異物が開口部を下にして骨盤内に認められた.側臥位にて腹部圧迫し,直腸内の示指で異物端を適切な方向に向けつつ,異物を肛門側に押し進め,摘出することができた.異物は,約20×7cmのペットボトルで女性のボディラインを再現した形状で,そのくびれはウエストに模した部分であった.今後も常習性の高齢者症例は増加する可能性がある.リスク教示のみならず,安全な使用を是認せざるを得ない場合もありうる.
著者
生方 英幸 本橋 行 田崎 太郎 春日 照彦 片野 素信 田渕 崇文
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.64, no.8, pp.1890-1895, 2003-08-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
14

症例は63歳,男性. EG領域の2型進行癌にて下部食道切除術施行.再建は細径胃管を作成し,自動吻合器を用いて端側式食道胃管吻合を胸腔内で施行した.術後SIRSの状態となったため,胸腔ドレナージを追加し, CHDF, PMX施行し全身状態の改善に努めた.再開胸は危険な状態であったため,全身状態の小康を待ち術後31日目に検査を行い縫合不全を確認した.術後40日目にUltraflexのcovered stentを内視鏡下に挿入したところ,全身状態の劇的な改善がみられ,その3週間後には瘻孔は完全に閉鎖された.近年の手術手技,手術器具の進歩にも関わらず食道癌の縫合不全発生率は約15%前後との報告が多く難易度の高い術式である.特に胸腔内吻合の場合は頸部吻合に比較し重篤になりやすく治療に難渋する.再開胸できないほど全身状態が悪化している症例の救命には,侵襲の少ないステント治療も有効な一手段であると考えられた.
著者
生方 英幸 春日 照彦 本橋 行 片野 素信 渡辺 善徳 後藤 悦久 中田 一郎 佐藤 茂範 田渕 崇文
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.1581-1586, 2003-11-01
被引用文献数
18

症例は65歳の男性で, Billroth II 法・結腸後吻合を施行されている残胃に発生した早期胃癌にて残胃全摘, Roux-Y法・結腸後吻合を施行した.術後3日目より肝機能障害出現,術後4日目上腹部痛出現,術後9日目CTにて十二指腸の著明な拡張を確認,術後12日目黄疸が出現した.術後13日目超音波ガイド下経皮経腸ドレナージを施行.造影所見より輸入脚閉塞症と診断された.上部消化管造影では食道空腸吻合部下部の空腸に狭窄を認めた.翌日より腹痛は劇的に改善し,術後27日目カテーテルを抜去し経口摂取を開始した.以後は順調に回復し術後38日目退院となった.輸入脚閉塞症は急速進行性に致命的経過をとる重篤な疾患である.これまではほとんどの症例で手術が施行されてきたが,死亡率は11%〜28%と高率であった.今回我々が施行した経皮経腸ドレナージは簡便で患者侵襲が少ないため,症例によっては輸入脚閉塞症に対して有効な一手段となると考えられた.