著者
本間 友香里 近藤 隆二郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.II_329-II_339, 2012 (Released:2013-02-13)
参考文献数
25

本研究は,ベルギーゲント市のNPO団体EVA(Ethical Vegetarian Alternative)の活動における特徴や強みを明らかにしたものである.EVAは動物福祉や環境問題のために,ベジタリアニズムを広めることを活動の目的としており,その中でDonderdag Veggiedag(ドンダ-ダーク・フェヒーダーク)という名の週一ベジタリアン運動を展開している.EVAの活動にはフランダース州政府から助成金が出されており,また2009年からドンダ-ダーク・フェヒーダークがゲント市のオフィシャルキャンペーンとなる等,行政との協働関係が構築できている.長い肉食の歴史を持つ国で,ベジタリアニズムを広めるEVAの活動が成功している要因を明らかにするために,EVAの活動における特徴や強みについて検討を行った. その結果,EVAは人々に対し,よりポジティブな印象を与える活動や積極的な情報発信,参加型イベントを開催する等,市民が参加し易い活動を心掛けていることが明らかになった.また質の高い内部マネジメントが行われていたり,政治家との繋がりを作り,それを行政との協働関係構築に発展させる等,行政側と市民側の両方にバランスの取れた活動が行われている.これらのことより,EVAの活動は「明るく」,また戦略に基づいた「冷静」なものといえ,活動を成功へと導いていると結論づけられる.