著者
石井 健作 本間 均
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.23-32, 2009-03-13 (Released:2022-06-30)
参考文献数
22
被引用文献数
2

本研究では,小学校の理科学習における教授過程で,学習者が電流概念の獲得を行う際の,「粒子傾斜モデル」の有効性についての研究を行った。今までに用いられてきた「アナロジー型モデル」の特徴を踏まえ,新しい「粒子傾斜モデル」の開発を行った。開発した「粒子傾斜モデル」は,学習者に視覚的にわかりやすく,操作しながら直感的に理解しやすいことを考慮した。また,この「粒子傾斜モデル」を用いて小学校4年生を対象とした実践授業を行い,電流の「流れ」や「向きや強さ」についての概念獲得の様子を分析した。その結果以下の3点から,「粒子傾斜モデル」の有効性が明らかになった。①新しい内容を学習する時に学習者自らが「粒子傾斜モデル」を活用しながら考えるようになる。②電流の「流れ」を意識した概念をより強固にもつことができるようになる。③電流の「向きや強さ」についての科学的に妥当な概念を獲得することができる。