著者
本間 容子 岡田 みゆき
出版者
北海道教育大学釧路校
雑誌
釧路論集 (ISSN:02878216)
巻号頁・発行日
no.37, pp.69-79, 2005

少子高齢化社会を家庭科教育から対応するために、映画、テレビ、雑誌等に現れた高齢者の生き方や実際の高齢者の観察訪問からの聴取を調査し、高齢者の生きがいについて検討した。その結果、高齢者の生きがいとして次のような例が挙げられた。高齢者にとっても、人を愛し、信じあい、支えあうことは重要であり、大きな生きがいのひとつになっていた。また、自分達の老後を自分たちで創っていくことは理想であり、必要とされている人間であることと実感することが、生きがいにつながっていた。また、「趣味」は、健康な高齢者だけではなく、痴呆などの病気の高齢者や、施設に入所している高齢者など、どんな人でも、持つことができる生きがいであり、高齢者が高齢者をボランティアすることも、これから必要である。高齢者の生きがいについては、さまざまな例を挙げることができた。各々の立場や環境によって、自分にあった生きがいを見つけていくことが重要で、高齢者になる以前から、生きがいについて考えたり、見つけたりすることが必要である。しかしながら、高等学校家庭科教科書においては、高齢者の生きがいについては全く触れられていないため、取り上げることが、高齢者教育では重要であり、生徒が、より自分の問題として考えることができるように、授業実践の検討が今後の課題である。