著者
札野 寛子
出版者
金沢工業大学
雑誌
KIT progress : 工学教育研究 (ISSN:13421662)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.17-29, 2013-03

2012 年1 月に金沢工業高等専門学校が、初の試みとしてニュージーランドの協力協定校の学生を数名受け入れ、地元の精密機械企業で3 週間実地研修を行うインターンシッププログラムを実施した。そのプログラムに先立って、本学では日本語学習の初心者であった学生らを「研修生」として受け入れ、筆者らがのべ10 日間の事前日本語・日本文化指導を担当した。本論では、学生らと企業研修指導者へのアンケートやインタビュー回答、その他のデータをもとに、今回初めて実施した事前指導での学習内容が適切なものであったかを質的に検証する。そして、今回の事前指導ではどのような条件にもとづいて指導内容が計画されたか、あるいは企業研修での実情を踏まえると考慮すべきであったか、カリキュラム内容を左右する条件を吟味する。
著者
鎌田 倫子 中河 和子 札野 寛子 峯 正志 後藤 寛樹
出版者
国立大学法人富山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

1.プログラム調査の実施石川・富山地域における7つの日本語プログラムの現場調査を実施し、結果の分析と評価方法の研究会を行った。平成20年度にパイロットスタディを行い、概要調査票、プログラム関係者への調査票、承諾書などの評価ツールを整備し平成21年度に7つのプログラムの現場調査を実施した。2.調査結果分析調査票調査の結果から、いわゆる学校型、地域型というだけでは収まりきらない日本語教育の現場の多様性が浮き彫りになった。学校主催プログラムの中にも教授法や組織形態が典型的な学校型に当たる留学生センターの大規模プログラムと、様々な特徴を持つ周辺的な小規模プログラムの存在が明らかになった。自治体主催や市民参加自主プログラムのいわゆる地域型にも、学校主催を凌ぐ規模を持つ学校型プログラムや、学校型を志向する疑似学校型プログラム(尾崎2004)、相互活動を目的とする多文化共生型プログラム(尾崎2004)等、特徴的で多様なプログラムの存在が現場調査から裏付けられた。(学会発表、報告書)3.プログラム評価法の研究会<エンパワメント評価>目標の達成度を見る従来型の評価法では捉えきれないプログラムの多様性の把握、活動や組織自体の改善を目指す評価法としてエンパワメント評価に着目し、文献研究会を実施した。エンパワメント評価は評価自体を、組織をエンパワする活動と位置付け、評価活動を通じて組織や活動の在り方を改善していく評価方法である。NPO等の実施する社会活動等に適用されることが多く、教育機関でエンパワメント評価を行った例は日本ではまだ見られない。しかし、この評価法は地域型日本語プログラムや周辺的な学校型小規模プログラムへの適用可能性は高いと考える。(フォーラム発表、文献)今後、作成した評価ツールの検討、採取記述データの分析等を進めながら、エンパワメント評価の試行可能性を探る所存である。