著者
松岡 裕見子 小西 光子 後藤 寛樹 要門 美規
出版者
富山大学
雑誌
富山大学留学生センター紀要 (ISSN:13472739)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.31-41, 2002-03

富山大学留学生センター日本語研修コースでは, コース期間中,毎朝,その日の口ならしとして1限目の授業の始めの5分~10分を発音練習にあてている。コースが開設された当初は,既製の教材を使用していたが, もっと楽しく元気に授業を開始できる,ウォーミングアップとなるような教材を開発しようということになった。教材は毎日の口ならしであると同時に, 日本語の発音の基礎を学び, 日本語らしいリズムを習得させることを目標としており, これまでに2回の改訂を経て,現在使用しているものに至っている。本稿はその教材開発について報告するものである。
著者
鎌田 倫子 中河 和子 後藤 寛樹
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.155, pp.95-110, 2013 (Released:2017-02-17)
参考文献数
8

エンパワメント評価は評価活動自体をエンパワメント活動と捉え,評価によってプログラムの改善を目指す評価方法である。エンパワメント評価はどのように実践され,組織や当事者にどのような変化がおこるのか,日本語プログラムにおける評価実践から見えてきた点を報告する。大学の理系小規模日本語プログラムでエンパワメント評価を実践し,プログラム当事者のエンパワメントによりプログラムの改善を目指した。評価実践を1期実施した中間点で,プログラム当事者である教員の変化について分析した。エンパワメント評価の導入には,プログラムがエンパワメントされることを希求する「エンパワメント文脈」が必要とされることから,当該プログラムのエンパワメント文脈について検討した。より困難なプログラムに向くとされるエンパワメント評価を,同様の困難を抱える日本語プログラムに適用すればプログラムの改善に繋がることが期待される。
著者
鎌田 倫子 中河 和子 後藤 寛樹
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

平成23年度より研究代表者らが所属する富山大学杉谷キャンパス日本語プログラムにおいて、エンパワメント評価(以下EE)を実践してきた。この実践は、国内では例がなく言語教育プログラムでは国際的にも珍しい。平成23年度には、まず担当教員内にEE原理の理解を深め、民主的な話し合いの土壌を作りながらプログラム・ミッションを策定した。その上で3年間の実践ゴールを、ミッションに適合した「学習達成目標設定」と「達成を測る指標作り」とした。その後プログラム内容をミッションに適合させ改善していく過程で教員側に常勤・非常勤を越えた民主的参画と、主体的関わり・組織学習の強化など、EEの原理の一部の達成が観察された。
著者
後藤 寛樹
出版者
富山大学留学生センター
雑誌
富山大学留学生センター紀要 = Journal of International Student Center, Toyama University (ISSN:13472739)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.65-67, 2011-11

日本語教育部門では,2003年度より毎週水曜日の昼休みを利用して,日本語教育部門の専任教員が留学生からの日本語に関する相談や質問に対応する「日本語相談」を実施している。これは,日本語に関する問題であれば,日本語の授業の内容とは関係なく,アポイントなしで相談できるというシステムで,授業以外の場での日本語学習支援として機能している。2010年度も合計28回の「日本語相談」を実施し,日本語学習に関する質問・相談,作文・レポートの添削,進学・就職に関連する日本語の文章のチェックや面接の練習など,多岐にわたる目的での利用があった。以下,2010年度の「日本語相談」の実施状況について報告する。
著者
鎌田 倫子 中河 和子 札野 寛子 峯 正志 後藤 寛樹
出版者
国立大学法人富山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

1.プログラム調査の実施石川・富山地域における7つの日本語プログラムの現場調査を実施し、結果の分析と評価方法の研究会を行った。平成20年度にパイロットスタディを行い、概要調査票、プログラム関係者への調査票、承諾書などの評価ツールを整備し平成21年度に7つのプログラムの現場調査を実施した。2.調査結果分析調査票調査の結果から、いわゆる学校型、地域型というだけでは収まりきらない日本語教育の現場の多様性が浮き彫りになった。学校主催プログラムの中にも教授法や組織形態が典型的な学校型に当たる留学生センターの大規模プログラムと、様々な特徴を持つ周辺的な小規模プログラムの存在が明らかになった。自治体主催や市民参加自主プログラムのいわゆる地域型にも、学校主催を凌ぐ規模を持つ学校型プログラムや、学校型を志向する疑似学校型プログラム(尾崎2004)、相互活動を目的とする多文化共生型プログラム(尾崎2004)等、特徴的で多様なプログラムの存在が現場調査から裏付けられた。(学会発表、報告書)3.プログラム評価法の研究会<エンパワメント評価>目標の達成度を見る従来型の評価法では捉えきれないプログラムの多様性の把握、活動や組織自体の改善を目指す評価法としてエンパワメント評価に着目し、文献研究会を実施した。エンパワメント評価は評価自体を、組織をエンパワする活動と位置付け、評価活動を通じて組織や活動の在り方を改善していく評価方法である。NPO等の実施する社会活動等に適用されることが多く、教育機関でエンパワメント評価を行った例は日本ではまだ見られない。しかし、この評価法は地域型日本語プログラムや周辺的な学校型小規模プログラムへの適用可能性は高いと考える。(フォーラム発表、文献)今後、作成した評価ツールの検討、採取記述データの分析等を進めながら、エンパワメント評価の試行可能性を探る所存である。