著者
鄭 相鐵 今石 宣之 朴 興吉
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.385-392, 1995-03-15
被引用文献数
2 1

水平管型ホットウォールCVD反応器を用い, 種々の操作圧力下で, 酢酸亜鉛を原料としたZnO薄膜を合成し, 膜性状に及ぼす操作変数の影響を検討した.ミクロトレンチ上の成膜形状と管軸方向の成膜速度分布を, ミクロおよびマクロな数値シミュレーションにもとづいて検討した.実験結果からCVD機構が圧力によって変化することが示唆された.実験結果を説明するためのモデルが提案された.モデルから, 高圧力下では, APCVDに関する前報で示したと同様に, 酢酸亜鉛から直接表面反応を経てZnO膜が形成されることが示された.低圧下では気相反応で活性種が生成され, それが管壁へ拡散し, 速い表面反応を経て成膜される.中間圧では, 気相中の活性種が窒素などによって失活されるとモデル化できることを示した.10~300Torrの中間圧力域では, これら2つの反応経路が共存するが, 活性な中間体は窒素分子との衝突で失活される.活性中間体から原料に戻る逆気相反応速度が窒素濃度の3乗に比例すると仮定することで, 実験結果を, 完全ではないが, ほぼ説明できた.