著者
井野 一 今石 宣之 宝沢 光紀 藤縄 勝彦
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.263-269, 1983-05-10 (Released:2010-03-15)
参考文献数
6
被引用文献数
14 12

W/O/W型乳化液膜による抽出プロセスの問題点は, その最終段階すなわちW/Oエマルジョンの破壊 (解乳化) 操作にあると思われる. 本報は交流を用いた電気的方法の, 解乳化操作としての有効性を検討するとともにその基本的特性を解明することを目的とする.食塩水と, Span 80を4vol%含むケロシン溶液とを回転式ディスパーザで攪拌して試料エマルジョンを作製した. 分散水滴の平均径dpは3.2~4.7μmの範囲にある. このエマルジョンは遠心力あるいは昇温による解乳化試験に対して極めて安定であった. エマルジョン層内に挿入したガラス製の非導電性電極と, エマルジョン層の下部にある水相との間に1~12kVの交流電圧を印加することによってエマルジョンの安定性は極端に低下し, 清澄な水相が得られた. 主要な因子と清澄水生成速度Vとの関係は次式で表された.ここで, Hは電極間隔, Eは印加電圧, μはエマルジョンの粘度, μcは油相の粘度であり, ETは遷移電圧でその値は6~8kVである.結論として, 水滴の直径が1μm以上であるならば, W/Oエマルジョンは交流高電圧印加法によって解乳化されることがわかった.
著者
今石 宣之 秋山 泰伸 佐藤 恒之
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1994

半導体や酸化物などの高品位単結晶の製造のために,単結晶育成炉内の融液の流れを正確に理解し,合目的的に制御する技術を開発することが要求されている。このなかで,自然対流に関する理解はかなり深まっているが,表面張力対流(マランゴニ対流)およびマランゴニ対流と自然対流の共存対流についての基礎的理解が不足している。マランゴニ対流は,微小重力環境における流体運動の基礎科学としても重要である。本研究では,マランゴニ対流の基礎的理解を深めるため,通常の流体と異なる表面張力の温度係数σT (σT≡∂σ/∂T)を持つ溶融苛性ソーダ(NaOH)の微小液柱内に生じるマランゴニ対流,および溶融NaNO_3の液柱内に生じるマランゴニ対流と自然対流の共存流について,実験および数値解析による検討を行い,下記の結果を得た。1)溶融NaOHの表面張力を,最大泡圧法を用いて測定し,融点(600K)〜T^*=725Kの温度域ではσT>0,T^*以上の温度域ではσT<0となることを明らかにした。2)T^*以下の低温域では,表面液が定温度点から高温度点へと向かう方向に流れるマランゴニ対流が観察された。実測した流速分布等は,数値解析結果と良く一致した。3)T^*以上の温度域では,通常の流体におけるマランゴニ対流と同様に,高温度点から定温度点へ向かって流れる表面流が観察され,数値解析結果と良く一致した。4)加熱板温度がT^*の近傍に設定される場合,温度および温度差に依存して,液柱内には2〜4個のロールセルが発生する。このマルチロールセル流れの発生機構は数値解析の結果,定量的に説明できた。5)液中を水平に置いた場合に生じるマランゴニ対流と自然対流との共存流の解析用の3次元数値解析コードを開発し,NaNO_3融液に対して解析を行い,実験結果を説明した。
著者
鄭 相鐵 今石 宣之 朴 興吉
出版者
The Society of Chemical Engineers, Japan
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.385-392, 1995-03-15
被引用文献数
2 1

水平管型ホットウォールCVD反応器を用い, 種々の操作圧力下で, 酢酸亜鉛を原料としたZnO薄膜を合成し, 膜性状に及ぼす操作変数の影響を検討した.ミクロトレンチ上の成膜形状と管軸方向の成膜速度分布を, ミクロおよびマクロな数値シミュレーションにもとづいて検討した.実験結果からCVD機構が圧力によって変化することが示唆された.実験結果を説明するためのモデルが提案された.モデルから, 高圧力下では, APCVDに関する前報で示したと同様に, 酢酸亜鉛から直接表面反応を経てZnO膜が形成されることが示された.低圧下では気相反応で活性種が生成され, それが管壁へ拡散し, 速い表面反応を経て成膜される.中間圧では, 気相中の活性種が窒素などによって失活されるとモデル化できることを示した.10~300Torrの中間圧力域では, これら2つの反応経路が共存するが, 活性な中間体は窒素分子との衝突で失活される.活性中間体から原料に戻る逆気相反応速度が窒素濃度の3乗に比例すると仮定することで, 実験結果を, 完全ではないが, ほぼ説明できた.
著者
鄭 相鐵 今石 宣之
出版者
九州大学
雑誌
九州大学機能物質科学研究所報告 (ISSN:09143793)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.7-12, 1997-07-25

Low pressure metal organic chemical vapor deposition (LPMOCVD) of Li_2O solid thin films from Li(DPM) in nitrogen-oxygen or argon-oxygen atmosphere is experimentally investigated by using a small hot wall tubular type reactor. XRD and ESCA analyses revealed that Li_2CO_3 film grows in nitrogen-oxygen atmosphere and Li_2O grows in argon-oxygen atmosphere. The grown lithium oxide or carbonate reacts with silicon or silica base materials to produce silicates. The CVD model analysis by means of the well known micro trench method and Monte Carlo simulation was not fully successful, but set of data on gas phase reaction rate constant and surface reaction constant was obtained.