著者
椿 俊和 小澁 達郎 松田 秀一 岩崎 郁美 杉原 雄三 赤澤 晃 小幡 俊彦 飯倉 洋治
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.124-133, 1993-08-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
26

気管支喘息児の家庭における空気清浄機の効果について検討を行った. 対象は, 国立小児病院アレルギー科に通院中の5~13歳の中等症以上の気管支喘息児17名で, これを空気清浄機にフィルターを装着した群12名と装着していない群5名の2群に分けて検討した. 第一製薬社製ベルフロースーパーを使用し, 観察期間・使用期間・観察期間の3つの期間に分けて, 臨床症状および呼吸機能の変化を朝, 昼, 夜に分けて評価した. 結果は, フィルター装着群では呼吸困難・疾・鼻水・睡眠障害に有意な改善が認められた (p<0.05). 喘息に関しては夜間に有意な改善が認められた (p<0.05). しかし, フィルター未装着群では改善はみられなかった. また, 呼吸機能に関しては有意な上昇は認められなかった.以上より, 空気清浄機は気管支喘息児の治療に有効な一手段であり, 症状改善に有用と思われた.
著者
藤高 道子 杉原 雄三 岡畠 宏易 池田 政憲 有田 昌彦
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.755-762, 2008
被引用文献数
1

広島県における小児科医師の喘息治療の傾向を知るために,2005年6~8月の間,これまで10年間開催された広島小児アレルギー研究会に参加した小児科医師80名にアンケート調査を行った.JPGL2002の認知度は全国調査と同様に高いが参考度は低かった.吸入ステロイド剤(ICS)の早期使用は積極的には支持しない意見が多く,ICS を使用するには副作用情報が最も多く必要とされ,スペーサーの選択基準等の具体的な吸入方法の情報を必要とする意見も多かった.重症度別の長期管理薬は,テオフィリン,LTRA,ツロブテロール貼付剤が全ての重症度で,ICS,DSCG とβ<SUB>2</SUB>刺激薬の混合吸入が中等症以上で支持された.ICS の使用優先順位は中等症でも3位と消極的な位置付けであった.自宅での吸入器の発作時使用法は,β<SUB>2</SUB>刺激薬を DSCG か生食水と混合して平均4時間毎に1日2回吸入して改善しなければ病院受診,と指導されていた.地域の治療傾向を把握した上で JPGL の啓蒙と意見交換を継続することは,地域の喘息治療の進展に繋がると思われた.