著者
河原 秀俊 森澤 豊 勝沼 俊雄 大矢 幸弘 斎藤 博久 赤澤 晃
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.559-564, 2002-07-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
7

卵白CAP-RAST陽性患児に対するインフルエンザワクチン接種の安全性について検討を行った.Sandwich ELISA法にて今回使用したワクチン中卵白蛋白(OVA)濃度測定を行い,2〜8ng/mlと微量であった.ハイリスク患児(卵白CAP-RASTクラス4以上または卵摂取により何らかの即時型反応の既往のある)36名(44.1±5.0カ月)に対しインフルエンザワクチン接種を行い,副反応として1患児で局所発赤を認めたが,即時型全身副反応をきたした患児は認められなかった.また卵白CAP-RAST陽性群(104患児)と陰性群(98患児)における即時型副反応の頻度は,局所反応が卵白CAP-RAST陽性群で0.5%,陰性群で2.2%であり,有意差は認められなかった.以上より,卵白CAP-RAST陽性患児に対するインフルエンザワクチン接種は,多くの有症状患児に対しても可能と思われる.
著者
野村 伊知郎 赤澤 晃
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.62-66, 2000-02-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
26

黄色ブドウ球菌は, アトピー性皮膚炎の湿疹部に多く存在する. 1)スーパー抗原性の外毒素が, スーパー抗原として, また1型アレルギーの抗原として働く. 2)菌体の蛋白質が, 1型アレルギーの抗原となる. 3)α-toxinなどの, cytolytic toxinの直接細胞障害. 以上3つの方法で, アトピー性皮膚炎を悪化させる. そのため, ブドウ球菌を除去することが, 治療上非常に重要である. この分野の最新の報告を中心に増悪のメカニズムについて述べる.
著者
嶋倉 邦嘉 長島 裕二 塩見 一雄 久能 昌朗 海老澤 元宏 赤澤 晃 飯倉 洋治
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.522-529, 2003
被引用文献数
4

食物負荷試験(FPT)は食物アレルギーの重要な診断法の一つであるが, FPT用の標準抗原は開発されていない.本研究では,5種類の食物(牛乳,鶏卵,鶏肉,大豆および小麦)からスプレードライ法またはフリーズドライ法により粉末を製造し,FPT用抗原としての有用性をin vitroで調べた。SDS-PAGEでは,各粉末およびその原料の抽出液は同じまたは類似した泳動パターンを示した.食物アレルギー患児の血清を用いたELISAで分析したところ,各粉末抽出液の反応性と原料抽出液の反応性との間には良好な相関(r=0.853-0.978)がみられた。さらに,牛乳,鶏卵および大豆では,粉末抽出液および原料抽出液を固相化抗原として用いても阻害剤として用いても,ほぼ同じELISA阻害曲線が得られた.これらの結果から,各粉末は原料と同じアレルゲンを同レベルで含み,FPT用抗原として有用であると判断された.なお,粉末のアレルゲン性は-20℃または5℃貯蔵では18カ月以上安定であることも判明した.
著者
椿 俊和 小澁 達郎 松田 秀一 岩崎 郁美 杉原 雄三 赤澤 晃 小幡 俊彦 飯倉 洋治
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.124-133, 1993-08-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
26

気管支喘息児の家庭における空気清浄機の効果について検討を行った. 対象は, 国立小児病院アレルギー科に通院中の5~13歳の中等症以上の気管支喘息児17名で, これを空気清浄機にフィルターを装着した群12名と装着していない群5名の2群に分けて検討した. 第一製薬社製ベルフロースーパーを使用し, 観察期間・使用期間・観察期間の3つの期間に分けて, 臨床症状および呼吸機能の変化を朝, 昼, 夜に分けて評価した. 結果は, フィルター装着群では呼吸困難・疾・鼻水・睡眠障害に有意な改善が認められた (p<0.05). 喘息に関しては夜間に有意な改善が認められた (p<0.05). しかし, フィルター未装着群では改善はみられなかった. また, 呼吸機能に関しては有意な上昇は認められなかった.以上より, 空気清浄機は気管支喘息児の治療に有効な一手段であり, 症状改善に有用と思われた.
著者
赤澤 晃 勝沼 俊雄 飯倉 洋治
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.322-328, 1988-08-31 (Released:2009-01-22)
参考文献数
10

トランスファー・ファクターの抗原特異的細胞性免疫能の転嫁作用と非特異的免疫賦活作用については多くの臨床報告があり,その有効性が認められている.その中で,気管支喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患にも有効例があることがわかってきた.今回われわれは,食餌アレルギーの関与する小児アトピー性皮膚炎児9名と反復性難治性口内炎患児2名に経口的にトランスファー・ファクターを投与したところ,アトピー性皮膚炎例では皮膚症状の著明な改善,特異的IgG抗体の低下,血清IgG, IgAグロブリンの増加と血清IgE-RISTの低下がみられた.反復性口内炎例では,投与開始後臨床症状の速やかな改善が認められた.厳密な対照をおいた検討成績ではないので確言はできないが,このことからトランスファー・ファクターが腸管リンパ組織系や口腔粘膜の炎症部位に直接作用する可能性を示唆するものと考えられた.
著者
赤澤 晃
出版者
Japanese Society of National Medical Services
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.201-204, 1997

近年, 天然ゴム製品に対する即時型アレルギー反応であるラテックスアレルギーが報告されるようになってきた. 欧米では, すでに医療従事者, 特殊な患者集団においてアナフィラキシーショックや死亡例があることから, 対応策, 予防策が考えられている. 国内においても今後増加する可能性がありラテックスアレルギーに対する啓蒙活動, 予防対策が必要である.
著者
赤澤 晃 田中 和子
出版者
日本小児アレルギー学会
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.34-38, 2001-04-01 (Released:2010-08-05)
参考文献数
3

1979年にラテックスアレルギーが報告されて以来, 欧米では数多くのアナフィラキシーショック症例, 死亡例が報告されるようになり, 米国アレルギー学会, FDAによる調査・研究・行政指導・法制定によりその対応がなされてきた. 日本国内でのラテックスアレルギーの患者調査では81名の患者報告があった. 小児科領域では, ラテックス製医療用具の使用者, 多種目の食物アレルギー患者はハイリスクグループであり, 一般でも小児への日常生活での注意も必要である.