著者
草野 佑介 上田 将也 宮坂 淳介 南角 学 松田 秀一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.543-546, 2021-08-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
4

要旨:本症例はCOVID-19重症肺炎に罹患し,長期の気管内挿管,深い鎮静,長期臥床により重篤なICU-Acquired Weakness(ICU-AW)およびADL低下を認めた.我々はCOVID-19リハビリテーションチームを編成し,感染対策および集中的なリハビリテーションを実施したことで,対象者は病前の生活に復帰することができた.本稿の目的は,COVID-19重症肺炎患者1例に対する急性期の作業療法の経験を報告することである.学際的チームアプローチによる作業療法が,集中治療後症候群の重症化を予防し,対象者の日常生活への復帰に貢献したと考えられた.
著者
力石 國男 松田 秀一 道上 宗巳
出版者
東京大学
雑誌
東京大学海洋研究所大槌臨海研究センター研究報告 (ISSN:13448420)
巻号頁・発行日
vol.27, 2002-03-29

平成13年度共同利用研究集会「北太平洋北西部とその縁辺海の水塊変動と循環」(2001年8月21日, 研究代表者:岩坂直人)講演要旨Variations of water masses and circulations in the northwestern North Pacific and its marginal seas(Abstracts of scientific symposia held at Otsuchi Marine Research Center in 2000)
著者
宮岡 健 中島 康晴 保科 隆之 松田 秀一 窪田 秀明 岩本 幸英
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.229-233, 2012

【目的】BCG骨関節炎の3例を報告する.【症例1】1歳7カ月の女児 生後4カ月でのBCGワクチン接種後13カ月で右膝の腫脹,疼痛を生じた.右大腿骨遠位に骨端線をまたぐ骨透亮像が存在し,生検を施行.抗酸菌培養およびMultiplex PCR法にてBCG Tokyo株が同定された.化学療法に抵抗性あったため,病巣掻爬術を施行した.【症例2】10カ月の男児 ワクチン接種後6カ月で右膝関節炎発症.2回の掻爬術後にPCRにて同定された.化学療法にて治癒した.【症例3】1歳6カ月の男児 ワクチン接種後13カ月で右足関節に腫脹,疼痛出現.右距骨骨髄炎を疑い,病巣掻爬術施行.抗酸菌培養およびPCRにて診断され,術後化学療法にて治癒した.【考察】BCG骨関節炎はワクチン接種後に発生する稀な病態であるが,小児の骨関節炎では鑑別診断に挙げる必要があり,抗酸菌培養およびPCR法が診断の決め手となる.
著者
大島 洋平 森 裕樹 佐藤 達也 濱田 涼太 吉岡 佑二 佐藤 晋 松田 秀一
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.480-483, 2021-06-20 (Released:2021-06-20)
参考文献数
9

無気肺・排痰困難に対して標準的な呼吸リハビリテーションの効果が乏しく,トランポリンを用いた運動療法が有効であった2例を経験した.1例は原発性肺癌に対して右下葉切除術を施行し,無気肺が遷延した症例,1例は重症肺炎発症後に排痰困難となり,呼吸不全及び呼吸困難が残存した症例である.この2例に排痰手技を含む標準的な呼吸リハビリテーションを施行するも,改善は乏しかった.そこで,トランポリン運動を試みたところ,著明な喀痰の自己喀出を得て,画像所見及び低酸素血症の改善を認めた.トランポリン運動が腹部臓器を介して横隔膜の受動運動を誘発し,換気を促進させたことで痰の喀出が得られたものと推察された.
著者
椿 俊和 小澁 達郎 松田 秀一 岩崎 郁美 杉原 雄三 赤澤 晃 小幡 俊彦 飯倉 洋治
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.124-133, 1993-08-25 (Released:2010-04-30)
参考文献数
26

気管支喘息児の家庭における空気清浄機の効果について検討を行った. 対象は, 国立小児病院アレルギー科に通院中の5~13歳の中等症以上の気管支喘息児17名で, これを空気清浄機にフィルターを装着した群12名と装着していない群5名の2群に分けて検討した. 第一製薬社製ベルフロースーパーを使用し, 観察期間・使用期間・観察期間の3つの期間に分けて, 臨床症状および呼吸機能の変化を朝, 昼, 夜に分けて評価した. 結果は, フィルター装着群では呼吸困難・疾・鼻水・睡眠障害に有意な改善が認められた (p<0.05). 喘息に関しては夜間に有意な改善が認められた (p<0.05). しかし, フィルター未装着群では改善はみられなかった. また, 呼吸機能に関しては有意な上昇は認められなかった.以上より, 空気清浄機は気管支喘息児の治療に有効な一手段であり, 症状改善に有用と思われた.
著者
西田 野百合 草野 佑介 山脇 理恵 梅田 雄嗣 荒川 芳輝 田畑 阿美 小川 裕也 宮城 崇史 池口 良輔 松田 秀一 上田 敬太
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.24-29, 2022 (Released:2022-05-12)
参考文献数
14

協調運動障害は小児髄芽腫治療後の主要な晩期合併症の一つであるが,学校生活への適応や社会参加の制約につながる可能性があるにも関わらず,標準化された検査法で評価し,適応行動やHealth-Related Quality of Life(健康関連QOL:HRQOL)への影響を詳細に検討した報告はない.本研究では手術,放射線治療,化学療法による治療終了後2年以上経過した髄芽腫男児患者2例を対象に,協調運動障害はThe Bruininks-Oseretsky Test of Motor Proficiency, Second Edition (BOT-2),適応行動やHRQOLについては半構造化面接や質問紙を用いて評価し,その影響について検討した.2症例ともに,四肢の協調性やバランス能力,巧緻運動速度が低下していた.適応行動は外出,友人との交流,粗大運動に関わる項目が低下し,HRQOLは運動やバランスに関する項目が低下していた.好発部位が小脳である髄芽腫生存者においては,協調運動障害が出現する可能性は高いと考えられる.髄芽腫患者の適応行動やHRQOLの改善および社会参加の拡大のためには,協調運動障害に対する標準化された検査法による評価と継続的なリハビリテーション介入,ライフステージに合わせた合理的配慮が重要である可能性が示唆された.
著者
南角 学 柿木 良介 西川 徹 松田 秀一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0526, 2014 (Released:2014-05-09)

【目的】臨床場面において,臼蓋形成不全によって股関節痛を伴う股関節疾患に対して,大腿骨と臼蓋の安定化を図りながら,動作の改善を目指すことは多い。臼蓋形成不全による骨形態の変化は,大腿骨と臼蓋の構造的な安定性の破綻をきたすとともに股関節の安定性に関わるその他の因子の機能にも影響を及ぼす。特に,股関節周囲筋の筋出力や筋張力によって大腿骨頭に加わる力の大きさや方向が変化することで股関節の安定性に関与することから,これらのメカニズムを考慮しながら理学療法を展開していくことは重要である。しかし,臼蓋形成不全と股関節の安定化機構に関わる股関節周囲筋の関連性を検討した報告はなく,不明な点が多い。そこで,本研究の目的は,変形性股関節症患者における臼蓋形成不全と股関節周期筋の筋萎縮の関連性を明らかとすることとした。【方法】対象は片側の変形性股関節症患者44名(男性6名,女性38名)とした。測定項目は股関節周囲筋の筋断面積,脚長差,Central-edge angle(以下,CE角)とし,測定には当院整形外科医の処方により撮影されたCT画像と股関節正面のX画像を用いた。股関節周囲筋の筋断面積の測定は,Raschらの方法に従い,仙腸関節最下端での水平断におけるCT画像を採用し,画像解析ソフト(TeraRecon社製)を用いて各筋群の筋断面積の測定を行った。対象は梨状筋,腸腰筋,中殿筋,大殿筋とし,得られた筋断面積から患健比(患側筋断面積/健側筋断面積×100%)を算出した。また,股関節正面のX画像から,小転子先端から涙痕先端までの距離を計測し脚長差を算出するとともに臼蓋形成不全の評価としてCE角も算出した。その他の運動機能の評価として,IsoForceGT330(OG技研社製)にて膝関節伸展筋力を計測し,トルク体重比を算出した。さらに,臼蓋形成不全の診断基準値に準じてCE角が20°未満(臼蓋形成不全症例:以下,A群)と20°以上(以下,B群)の2群に分け,各測定項目の比較を行った。統計処理は,両群間の比較には対応のないt検定とMann-WhitneyのU検定を用いた。さらに,臼蓋形成不全の有無を目的変数,両群間で有意差を認めた項目を説明変数としたロジスティック重回帰分析を行い,統計学的有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は京都大学医学部の倫理委員会の承認を受け,対象者には本研究の主旨ならびに目的を説明し研究への参加に対する同意を得て実施した。【結果】A群は24名(年齢:61.1±8.6歳,BMI:22.0±3.6kg/m2),B群は20名(年齢:65.9±10.7歳,BMI:23.0±3.0kg/m2)であり,年齢とBMIについては両群間で有意差を認めなかった。A群の梨状筋は60.8±14.5%,腸腰筋は62.2±10.5%,中殿筋は65.0±12.7%,B群の梨状筋は83.1±13.6%,腸腰筋は83.2±12.7%,中殿筋は84.6±8.3%であり,これらの筋についてはB群と比較してA群で有意に低い値を示した。一方,大殿筋(A群:76.3±11.0%,B群:83.1±8.4%)と膝関節伸展筋力(A群:1.31±0.56Nm/kg,B群:1.28±0.62Nm/kg)に関しては,両群間で有意差を認めなかった。また,A群の脚長差(23.9±9.9mm)は,B群(8.3±5.5mm)と比較して有意に大きい値を示した。さらに,ロジスティック重回帰分析の結果より,変形性股関節症患者の臼蓋形成不全と関連する因子として,脚長差と腸腰筋の筋萎縮が有意な項目として選択された。【考察】腸腰筋や梨状筋などの股関節の深部にある筋群は,それぞれの筋機能のバランスを保つことによって臼蓋と大腿骨頭の適合性すなわち股関節の安定化に寄与すること報告されている。また,中殿筋の後部線維は筋線維方向が頚体角と同等であることから股関節を求心位に保持する機能があることも報告されている。本研究の結果より,臼蓋形成不全症例では脚長差が大きく,大殿筋や膝関節伸展筋よりも股関節の安定性に関わる腸腰筋,梨状筋,中殿筋により顕著な筋萎縮を認めた。さらに,重回帰分析の結果より,臼蓋形成不全の影響を最も受けやすい筋は腸腰筋であることが明らかとなった。腸腰筋は大腿骨頭を前方から押さえることで臼蓋と大腿骨頭の安定性を向上させる作用があることから,臼蓋形成不全が大きい症例では股関節の前方への安定化がより欠如している可能性があり,これらのことを考慮した介入が必要であると考えられた。【理学療法研究としての意義】本研究の結果より,変形性股関節症患者の臼蓋形成不全は股関節の安定性に関与する筋群の萎縮と関連することが明らかとなり,理学療法において効果的なアプローチ方法を立案していくための一助となると考えられる。
著者
細江 拓也 南角 学 黒田 隆 宗 和隆 後藤 公志 池口 良輔 松田 秀一
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0481, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】変形性股関節症(以下,股OA)患者における中殿筋の筋萎縮は股関節外転筋力の低下を招き,前額面上での歩行の不安定性の原因となる。臨床の場面において,股OA患者の歩行能力の改善を目標として,股関節外転筋力の向上に取り組むことが多い。より適切に股OA患者の歩行能力の改善を図るためには,股関節外転筋力の低下の原因となる中殿筋の筋萎縮に関連する因子を明確にする必要がある。しかし,これらの因子を詳細に検討した報告は少ない。本研究の目的は,股OA患者の中殿筋の筋萎縮に関連する因子を身体所見及び画像所見から明らかにすることである。【方法】片側の進行期または末期の股OA患者52名(年齢64.6±9.8歳,BMI22.9±3.8kg/m2,男性10名,女性42名)を対象とした。身体所見として股関節屈曲・伸展・外転角度,股関節痛(VASを用いて評価)を測定した。画像所見として当院整形外科医の処方により撮影された股関節正面のX線画像から脚長差,Central-edge angle(以下,CE角),骨盤前傾角度を測定し,CT画像から中殿筋の筋断面積を測定した。中殿筋の筋断面積の測定は,仙腸関節最下端での水平断におけるCT画像を採用し,画像解析ソフト(TeraRecon社製)を用いた。さらに,得られた筋断面積から中殿筋の筋萎縮率として患健比×100%を算出した。中殿筋の筋萎縮率と各測定項目の関連性の検討にはSPSS ver.18を使用し,Pearsonの相関係数,Spearmanの順位相関係数,ステップワイズ法による重回帰分析を用いた。統計学的有意水準は5%未満とした。【結果】中殿筋の筋萎縮率は77.2±13.8%(患側2066.3±486.1mm2,健側2698.7±528.6mm2)であり,脚長差12.8±11.5mm(r=-0.51),患側の股関節屈曲角度91.6±16.7°(r=0.53),CE角17.8±10.4°(r=0.28)と有意な相関関係を認めた。一方,その他の測定項目については有意な相関関係を認めなかった。さらに,中殿筋の筋萎縮率を従属変数,脚長差,患側の股関節屈曲角度,CE角を独立変数としたステップワイズ法による重回帰分析の結果,股OA患者の中殿筋の筋萎縮率に関連する因子として,脚長差(β=-0.49),患側の股関節屈曲角度(β=0.34)が選択された(調整済みR2=0.47)。【結論】本研究の結果から,股OA患者の中殿筋の筋萎縮が進行している症例では,脚長差が大きく,患側の股関節屈曲制限が顕著であることが明らかとなった。脚長差が大きく,股関節屈曲制限が顕著であると大腿骨頭が外上側変位や扁平化を呈していると考えられ,その結果,中殿筋の筋長が弛み機能不全となることで,中殿筋の筋萎縮を招いていると考えられた。これらのことから,股OA患者において,脚長差が大きく,股関節屈曲制限が顕著である場合は中殿筋が筋萎縮を呈している可能性を考慮し,股関節外転筋のアプローチを実施していく必要性があると示唆された。