著者
兪 善昊 杉川 裕介 植田 利久
出版者
公益社団法人 化学工学会
雑誌
化学工学論文集 (ISSN:0386216X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.357-363, 2009-07-20 (Released:2009-07-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1 1

ノンエレメントミキサーは,主流に,主流流路に垂直に同一間隔で接続された複数の支流から流体を注入させることにより,流体が引き伸ばしと折り畳みの効果を受け,混合を促進させるミキサーである.主流流路中心軸に垂直な断面の混合の様子をレーザ誘起蛍光法(LIF)を用いて可視化し,得られた断面像から界面の大きさの時間変化の様子を明らかにし,対流混合促進のメカニズムについて検討を加えた.支流本数n,支流押し出し周期Tpを変化させ,断面像観察,境界線長さLの測定を行った.その結果,以下の結論を得た.支流本数が増えるほど,すなわちnが大きくなるほど,混合のパターンは複雑になる.特に遅延座標系の位相空間でのLの形状より,nが大きくなるとカオス的挙動を示すことが示唆された.またLは時間的に変化し,その周期はTpと一致する.Lの時間平均値Lはnが大きくなるほど大きくなる.その増加は指数関数的な増加であり,このことは本ノンエレメントミキサーが,Kenicsタイプのスタティックミキサーと同様の混合促進特性を有していることを示している.