- 著者
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辻 将大
秋山 恭彦
杉本 圭司
上村 岳士
内村 昌裕
藤原 勇太
宮嵜 健史
永井 秀政
- 出版者
- 一般社団法人 日本脳卒中学会
- 雑誌
- 脳卒中 (ISSN:09120726)
- 巻号頁・発行日
- vol.39, no.5, pp.375-380, 2017 (Released:2017-09-25)
- 参考文献数
- 20
症例は66 歳の女性.30 秒~1 分間程度持続する一過性の右上肢脱力発作を繰り返し発症した.脳血管撮影により頸部頸動脈解離の診断に至った.患者には,約1 カ月前に頸部への鈍的外傷歴があった.急性期の脳虚血巣はMRI では認められず,MRI および造影CT において解離病変部内に明らかな血栓が同定できないこと,非脳虚血発作時の脳血流検査で脳血流低下や脳血流予備能低下も認められないことから,当初,脳虚血発作の発症機序を特定できなかった.血管内視鏡による病変部観察の結果,解離した血管壁が可動性を有するフラップ形状を呈しており,偽腔内へ流入する血流により解離フラップが血管腔を閉塞するように上昇運動する状態が観察されたことから,解離血管壁が間歇的に血管腔を閉鎖することが本症例の病態生理と推測された.頸動脈ステント留置術により解離血管壁を固定した結果,脳虚血症状は消失した.