著者
中村 由美子 宗村 弥生 内城 絵美 伊藤 耕嗣 杉本 晃子 鳴井 ひろみ 吹田 夕起子 澁谷 泰秀 浜端 賢次 杉本 晃子 権 美子
出版者
青森県立保健大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,病気の家族メンバーがいる家族へのケアを支援するために,項目反応理論を用いた家族機能尺度の有用性について検討することを目的とした。病気の家族メンバーには、がん患者や介護の必要な高齢者を含んでいた。有効回答を得られたのは195名(男性52名,女性142名)であった。構造方程式モデリング手法(共分散構造分析)を用いてモデルを構築した結果,"家族機能"と"QOL"という2つの構成概念が直接影響を及ぼすことが示された。また,項目を洗練化するために,合計19項目からなる尺度を項目反応理論(IRT)によって分析した。項目反応理論を用いた分析は,項目の洗練化だけではなく家族機能モデルの開発にも有用であった。
著者
中村 由美子 杉本 晃子 赤羽 衣里子 澁谷 泰秀 下山 裕子 米谷 真紀子 小山 真貴子 工藤 明美
出版者
青森県立保健大学
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.45-52, 2006-06-30
被引用文献数
1

子育て期の家族は子どもの成長・発達に伴い、様々な変化に対応しなければならない。家族のライフサイクルからみた思春期の子どもをもつ家族は、家族の発達段階における「教育期」にあたり、現代の思春期の子どもが抱える社会問題も踏まえて、家族がこの時期の発達段階を移行するためには危機的な状況も多く、社会的なサポートが必要であると考えられる。そこで、本研究では、独自に開発した尺度を用いて、思春期の子どもをもつ家族の家族機能を評価してその特徴を明らかにし、社会的サポートを含めた家族への看護に関する示唆を得ることを目的とした。A町に住む中学生の子どもをもつ463名の父母を対象に『家族機能』、『自己効力感』、『QOL』について測定した結果、家族機能においては「絆」という情緒的機能が高く、また「役割分担」の機能が低いことが明らかとなった。『自己効力感』では、この時期の父母ともに「能力の社会的位置づけ」が低く、思春期の子どもをもつ家族の発達課題である職業生活や夫婦生活の見直しからの影響が推測されるなど家族のライフサイクルの特徴がうかがえる結果であった。父母間の比較においては、『自己効力感』、『家族機能』ともに母親が低値であり、小さな子どもをもつ養育期と同様に母親の負担が大きいことが推測された。『QOL』では、母親の「友人関係」が重要であり、友人を作る場の確保など思春期にある家族の家族機能の特徴をふまえて地域保健活動や家族看護実践を行っていく必要性が示唆された。