著者
藤崎 夏子 尾辻 真由美 簑部 町子 肥後 あかね 後藤 隆彦 赤尾 綾子 三反 陽子 中村 由美子 田上 さとみ 中重 敬子 小木曽 和磨 郡山 暢之
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.666-669, 2013-09-30 (Released:2013-10-30)
参考文献数
5

糖尿病治療において,簡易血糖測定器での自己測定による血糖値のモニタリングは有意義である.様々な要因で測定値が影響を受けることが知られているが,外用品を原因とする報告は認められない.我々は,高濃度のアスコルビン酸と各種還元物質を含有した輸入ハンドクリームによって,血糖値が偽低値を示した2型糖尿病の症例を経験し,健常成人10名での血糖値への影響と簡易血糖測定器における比色法と酵素電極法との間での差異について検討した.血糖値は,クリーム塗布前に比して塗布後に,比色法で有意な低値(p=0.005),酵素電極法で有意な高値(p=0.005)が確認された.流水洗浄で塗布前と有意差の無いレベルに回復したが,アルコール綿での拭き取りでは不充分であった.血糖自己測定においては,還元物質を含有する外用品使用の有無についての問診や,それらの影響に関する知識と流水での手洗いの重要性の啓蒙が必要である.
著者
扇野 綾子 中村 由美子
出版者
一般社団法人 日本小児看護学会
雑誌
日本小児看護学会誌 (ISSN:13449923)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.1-9, 2014 (Released:2016-12-09)
参考文献数
19
被引用文献数
3

本研究の目的は、慢性疾患患児を育てる母親の心理的適応の構造の特徴について明らかにすることである。 病児の母親247名と健康児の母親332名を対象に、自記式質問紙調査を行った。心理的適応に関連する要因として精神的健康度、コーピング、レジリエンスを測定し、分析は記述統計と平均値の差の検定の後、共分散構造分析を用い母親の心理的適応モデルを作成した。 各尺度の得点を比較した結果、病児の母親は健康児の母親に比べて精神的健康度が低く、レジリエンスの 「I AM」 「I WILL/DO」、コーピングの 「肯定的解釈」 が有意に低かった。共分散構造モデルについて、子どもの疾患の有無による多母集団の同時分析を行った結果、病児の母親の心理的適応を構成する要因では 「自信」 の影響が大きく、『柔軟な力』を構成する 「楽観視」 と 「こころのゆとり」 のパス係数が高かった。 これらの結果より、病児の母親に対しては育児を承認し、長期的な視点をもち関わるなど支援の方向性の示唆が得られた。
著者
今 智彦 本田 知己 中村 由美子 高東 智佳子
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.856, pp.17-00285-17-00285, 2017 (Released:2017-12-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

Wear of sliding surfaces in machinery is one of the major causes of mechanical failure. Thus, detecting wear on sliding surfaces is very important for preventing mechanical failure. Current diagnosis methods for detecting wear particles such as a spectrometry oil analysis program, particle count method and ferrography method are very useful for it. However, these methods need high cost, expertise and long time for the analysis. Moreover, the particle count method can only measure the size and the number of particles and it cannot indicate whether the lubricating oil is degraded by oxidation or solid particles. Therefore, the diagnosis method which can evaluate degradation cause and level of lubricating oil is required for effective maintenance. The authors have developed a new diagnostic method for lubricating oils by the colorimetric analysis of membrane patches. In the previous study, we reported that there is a good correlation between membrane patch color and contamination in lubricating oil. From the results of our previous study, it is possible to diagnose wear on sliding surfaces by using membrane patch color. The purpose of this study is to develop new wear monitoring method of sliding surface in machinery by using membrane patch color. First, we conducted filtration tests to investigate degradation causes of lubricating oil in actual machinery. The results showed that they are classified into solid particles and/or oxidation products. Secondly, we prepared oil samples which were artificially degraded by solid particles and/or oil oxidation products based on the filtration test, and we conducted wear tests in the degraded oils by using block-on-ring tester. The results presented that it is important to detect not only the number of particles but types of particles for the monitoring of wear on sliding surfaces. Finally, we investigated the relation between ISO cleanliness code and membrane patch color and we proposed a new parameter Ic using the ISO code. As a result, it is shown that it is possible to detect wear on sliding surfaces easily using Ic and membrane patch color.
著者
中村 由美子 宗村 弥生 内城 絵美 伊藤 耕嗣 杉本 晃子 鳴井 ひろみ 吹田 夕起子 澁谷 泰秀 浜端 賢次 杉本 晃子 権 美子
出版者
青森県立保健大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,病気の家族メンバーがいる家族へのケアを支援するために,項目反応理論を用いた家族機能尺度の有用性について検討することを目的とした。病気の家族メンバーには、がん患者や介護の必要な高齢者を含んでいた。有効回答を得られたのは195名(男性52名,女性142名)であった。構造方程式モデリング手法(共分散構造分析)を用いてモデルを構築した結果,"家族機能"と"QOL"という2つの構成概念が直接影響を及ぼすことが示された。また,項目を洗練化するために,合計19項目からなる尺度を項目反応理論(IRT)によって分析した。項目反応理論を用いた分析は,項目の洗練化だけではなく家族機能モデルの開発にも有用であった。
著者
中村 由美子 杉本 晃子 赤羽 衣里子 澁谷 泰秀 下山 裕子 米谷 真紀子 小山 真貴子 工藤 明美
出版者
青森県立保健大学
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.45-52, 2006-06-30
被引用文献数
1

子育て期の家族は子どもの成長・発達に伴い、様々な変化に対応しなければならない。家族のライフサイクルからみた思春期の子どもをもつ家族は、家族の発達段階における「教育期」にあたり、現代の思春期の子どもが抱える社会問題も踏まえて、家族がこの時期の発達段階を移行するためには危機的な状況も多く、社会的なサポートが必要であると考えられる。そこで、本研究では、独自に開発した尺度を用いて、思春期の子どもをもつ家族の家族機能を評価してその特徴を明らかにし、社会的サポートを含めた家族への看護に関する示唆を得ることを目的とした。A町に住む中学生の子どもをもつ463名の父母を対象に『家族機能』、『自己効力感』、『QOL』について測定した結果、家族機能においては「絆」という情緒的機能が高く、また「役割分担」の機能が低いことが明らかとなった。『自己効力感』では、この時期の父母ともに「能力の社会的位置づけ」が低く、思春期の子どもをもつ家族の発達課題である職業生活や夫婦生活の見直しからの影響が推測されるなど家族のライフサイクルの特徴がうかがえる結果であった。父母間の比較においては、『自己効力感』、『家族機能』ともに母親が低値であり、小さな子どもをもつ養育期と同様に母親の負担が大きいことが推測された。『QOL』では、母親の「友人関係」が重要であり、友人を作る場の確保など思春期にある家族の家族機能の特徴をふまえて地域保健活動や家族看護実践を行っていく必要性が示唆された。