著者
小久保温 澁谷泰秀 吉村治正 渡部諭
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.415-417, 2014-03-11

従来行なわれてきた訪問や郵送による質問紙の社会調査は、近年困難になりつつあり、今後はWeb調査に移行する必要がある。Web調査は、サンプリング、カバレッジ誤差などが問題とされてきた。われわれは調査法としてDillmanのTDMを応用し、WebアンケートシステムとしてPC、携帯電話、スマートフォン、タブレットなどの幅広いマルチデバイスに対応したシステムを開発することで、これらの課題に対応しようと試みた。更にシステムでは回答過程を詳しく記録している。そして、2013年の初頭におよそ1000人を無作為抽出して郵送とWebによるハイブリッド社会調査を実施した。本講演では、その解析結果について論じる。
著者
渡部 諭 澁谷 泰秀 吉村 治正
出版者
秋田県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、社会情動的選択性から予想される要因を含めて、高齢者のネットワーク形成に影響を与える要因の分析である。未来展望・QOL・自己効力・関係の満足度・関係に要する時間・関係の類似性・持続期間・サポートのバランス・サポートの種類・紐帯の強度等に関する調査を高齢者275名に対して行いREGM分析を行った結果、関係の持続時間と関係の満足度が大きな要因であることが明らかになった。
著者
吉村 治正 澁谷 泰秀 渡部 論
出版者
奈良大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

職歴に関する社会調査を従来の訪問面接法ではなく、郵送法およびインターネット法で実施することは可能か、これを実施した場合にどのような技術的な問題が生じるかを、実験的社会調査を通じて検証した。その結果は、回収率・項目欠損率・回答者の偏りという三点で見る限り十分評価し得る値が示されており、職歴のような複雑な構造を持つデータであっても、自記式による調査は可能であると結論づけられる。ただし、職歴を自記式で調査する場合には、調査項目のレイアウトや選択肢の与え方など、調査票の構成を入念に行い、回答者が答えやすくなるような工夫を施すことが必要となることが明らかになった。
著者
中村 由美子 宗村 弥生 内城 絵美 伊藤 耕嗣 杉本 晃子 鳴井 ひろみ 吹田 夕起子 澁谷 泰秀 浜端 賢次 杉本 晃子 権 美子
出版者
青森県立保健大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,病気の家族メンバーがいる家族へのケアを支援するために,項目反応理論を用いた家族機能尺度の有用性について検討することを目的とした。病気の家族メンバーには、がん患者や介護の必要な高齢者を含んでいた。有効回答を得られたのは195名(男性52名,女性142名)であった。構造方程式モデリング手法(共分散構造分析)を用いてモデルを構築した結果,"家族機能"と"QOL"という2つの構成概念が直接影響を及ぼすことが示された。また,項目を洗練化するために,合計19項目からなる尺度を項目反応理論(IRT)によって分析した。項目反応理論を用いた分析は,項目の洗練化だけではなく家族機能モデルの開発にも有用であった。
著者
中村 由美子 杉本 晃子 赤羽 衣里子 澁谷 泰秀 下山 裕子 米谷 真紀子 小山 真貴子 工藤 明美
出版者
青森県立保健大学
雑誌
青森県立保健大学雑誌 (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.45-52, 2006-06-30
被引用文献数
1

子育て期の家族は子どもの成長・発達に伴い、様々な変化に対応しなければならない。家族のライフサイクルからみた思春期の子どもをもつ家族は、家族の発達段階における「教育期」にあたり、現代の思春期の子どもが抱える社会問題も踏まえて、家族がこの時期の発達段階を移行するためには危機的な状況も多く、社会的なサポートが必要であると考えられる。そこで、本研究では、独自に開発した尺度を用いて、思春期の子どもをもつ家族の家族機能を評価してその特徴を明らかにし、社会的サポートを含めた家族への看護に関する示唆を得ることを目的とした。A町に住む中学生の子どもをもつ463名の父母を対象に『家族機能』、『自己効力感』、『QOL』について測定した結果、家族機能においては「絆」という情緒的機能が高く、また「役割分担」の機能が低いことが明らかとなった。『自己効力感』では、この時期の父母ともに「能力の社会的位置づけ」が低く、思春期の子どもをもつ家族の発達課題である職業生活や夫婦生活の見直しからの影響が推測されるなど家族のライフサイクルの特徴がうかがえる結果であった。父母間の比較においては、『自己効力感』、『家族機能』ともに母親が低値であり、小さな子どもをもつ養育期と同様に母親の負担が大きいことが推測された。『QOL』では、母親の「友人関係」が重要であり、友人を作る場の確保など思春期にある家族の家族機能の特徴をふまえて地域保健活動や家族看護実践を行っていく必要性が示唆された。