著者
藤本 滋生 杉村 和道 中島 修一 菅沼 俊彦 永浜 伴紀
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
澱粉科学 (ISSN:00215406)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.166-173, 1981-06-30 (Released:2011-02-23)
参考文献数
29
被引用文献数
5 6

1.ウリ科のカラスウリ(塊根)とキカラスウリ(塊根),およびサトイモ科のムサシアブミ(塊茎)とクワズイモ(根茎)よりそれぞれ生組織に対し12%,1 .3%,5%,4%の澱粉を得た. 2.サツマイモ澱粉を対照とし,それぞれの澱粉につき,一般分析のほか,顕微鏡観察,粒径分布,X線回折ヨウ素呈色,生澱粉のグルコアミラーゼ消化,膨潤力,溶解度,アミログラフィー等の項目について測定し,その特性を考察した. 3.カラスウリ澱粉は小形で全リン酸含量がきわめて高く,膨潤力やアミログラム粘度も高いことなどから,強固な粒構造をもっていることが示唆された.キカラスウリ澱粉はきわめて精製が容易で,性質はジャガイモ澱粉に比較的似たものであった.ムサシアブミ澱粉は多くの点でサツマイモ澱粉に酷似していることがわかった.またクワズイモ澱粉は,粒径1~2μmの微小粒のため遠心分離が必要であり,さらに混在するシュウ酸カルシウムの針状結晶を溶解するために希塩酸を用いた.その性質は,アミロース含量がきわめて少なく,糊化しやすく,膨潤力が大きかった., 本報告の一部は,昭和46年度および55年度の日本澱粉学会大会ならびに昭和55年度の日本農芸化学会西日本支部大会で発表した.なお,本研究には,鹿児島大学名誉教授蟹江松雄博士のご鞭撻と,本学学生の佐々木弘美,久保豊,久保田力の諸君の協力をいただいた.付記し謝意を表する.