著者
兒嶋 高志 志村 洋 杉江 明子 青山 忍 吉田 一也
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成17年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.141, 2005 (Released:2005-09-13)

【目的】日本における鶏卵消費量は約250万tであり、その内約半量が家庭用としてスーパーマーケット等で販売されている。一般的に生鮮物(生魚、野菜等)に対して持つイメージと同様に、鶏卵も産まれたての方が美味しく、卵料理についても同様に産まれたての鶏卵を用いた方が美味しいと思われがちであるが、科学的な根拠が示されることは少ない。そこで本研究では、低温管理における鶏卵の産卵後日数が、代表的な卵料理である茹卵と厚焼卵の物性と食味特性等に与える影響について、様々なデータを取得して検討を行い、結果を得たので報告する。【方法】産卵された鶏卵を0から10日まで10℃にて保管し、EGGマルチテスタを使用してハウ・ユニットを測定した。さらに茹卵と厚焼卵を調製してpH、破断応力、食味特性等について測定を行った。【結果】今回の試験の結果、茹卵、厚焼き玉子共に産まれたての鶏卵を用いたものより、10℃である程度保存した鶏卵を用いた場合の方が、より美味しいと評価されるものを調製することが出来た。茹卵については、経時的に鶏卵の卵白部pHが上昇し、脱殻性が向上した。また茹卵としての美味しさについても、卵白の食味(食感)が良くなる、茹卵らしい香り(硫化水素臭)が生じてくる、というような要素で評価が上がった。厚焼き玉子については、もろく離水の多い食味から経時的によりしっかりとした食感への移行が見られ、卵らしい香り(卵風味)についても経時的に評価が上がる傾向が見られた。