著者
嶋田 容子 志村 洋子 小西 行郎
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.112-117, 2019-03-01 (Released:2019-09-01)
参考文献数
19
被引用文献数
2

幼児の聴覚は成人とは異なり,雑音下における選択的聴取の能力が十分に発達していない。本研究では,幼児にとって生態学的に必要性の高い音をシグナルとし,雑音下での聴取力の発達変化を4~6歳児70名を対象に検討した。実験は,交通音や多人数音声を背景雑音とし,車・バイクの通過音や呼びかけ音声等のターゲットを検知するクイズ形式で実施した。実験に先立ちOAEにより基本的な聴力を確認した。実験の結果,4歳児と5及び6歳児との間に有意差があり,雑音下での聴取能力が4歳以降で顕著に発達することが示唆された。発達途上の幼児の音環境はこのような聴覚特性を踏まえて検討する必要がある。
著者
志村 洋
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

従来、諸藩の約4割を占める2万石未満の小藩領の大庄屋については、ほとんど研究がなかった。本研究では、信濃国佐久郡・小県郡の譜代小藩である岩村田藩と播磨国揖東郡の外様小藩である林田藩などを取り上げて、異なる地域における大庄屋制の特質を比較検討した。その結果、①岩村田藩では、割元としての職掌は一部に限られており、陣屋元村名主としての機能が中心であったこと、②林田藩では、大庄屋の職掌は比較的広かったが、藩政に介入するほどの職権は有していなかったことが明らかになった。
著者
西田 かほる 井上 智勝 岩城 卓二 梅田 千尋 志村 洋 中川 すがね 幡鎌 一弘 東谷 智 山崎 善弘 引野 亨輔 松本 和明
出版者
静岡文化芸術大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

夷信仰の拠点である西宮神社(現兵庫県西宮市)が所蔵する江戸時代の日記や神社文書、宮司家文書を翻刻することにより、西宮神社の活動と神社に付属する宗教者の実態を明らかにすることができた。同時に、全国の夷社人関係の史料を調査することにより、その地域分布と差異を明確にすることができた。このほか、西宮神社が所蔵する近代の日誌のデジタル撮影を行うことによって、今後の研究の体制を整えた。
著者
汐見 稔幸 志村 洋子 村上 博文 松永 静子 保坂 佳一 冨山 大士
出版者
白梅学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、乳児保育室の環境構成が子どもの行動に与える影響について、環境条件として空間構成と音に注目し、アクションリサーチ的手法を取り入れて調査した。その結果、部屋を単一空間から仕切られたより小さな空間にしたり、部屋から80dBを超える音を減らしたりすることによって、子どもが落ち着き、集中し、じっくり遊ぶようになることがわかった。
著者
志村 洋一郎 殿塚 隆史 坂野 好幸
出版者
The Japanese Society of Applied Glycoscience
雑誌
応用糖質科学 (ISSN:13403494)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.393-395, 1998

好熱性放線菌Therrnoactinomyces vulgaris R-47よりクローン化された二つのa-アミラーゼ,TVAIとTVAII,のグルコシルサイクロデキストリン(G1-α-,-β-,-γ-CD)に対する速度論および作用様式の検討を行った.TVAIは,G1-γ-CDに対して,9.0s<SUP>-1</SUP>mM<SUP>-1</SUP>のk<SUB>cat</SUB>/K<SUB>m</SUB>値を示し,Gl-a-,および-β-CDに対するそれよりも100倍以上の値を示した.一方,TVAIIは,3種類のG1-CDに対してほぼ等しいk<SUB>cat</SUB>/K<SUB>m</SUB>値(約0.5s<SUP>-1</SUP>mM<SUP>-1</SUP>)を示した.TVAIとTVAIIの最終G1-CD分解物を,HPLCおよびTLCにおいて確認した.それらは,グルコース,マルトース,パノース,および62-α-グルコシルマルトトリオースと推定された.TVAIとTVAIIのG1-CDに対する作用は,速度論的には異なっているが,その作用様式は類似していた.
著者
森 浩一 外山 崇子 三井 真紀 今泉 敏 志村 洋子 中島 八十一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.98, no.639, pp.77-84, 1999-03-05
被引用文献数
5

機能的核磁気共鳴画像法 (fMRI) は低侵襲なため、脳機能の局在の研究によく使われる。しがしながら大騒音 (93〜105dB SPL) を伴うので、音による反応を調べるには不向きとされている。MRI 装置内では磁性体が使えないため、音は非磁性のチューブ経由で聞くようになっているが、付属するイヤホンは 10dB 程度の防音効果しかない。そこで、イヤホンを挿耳型にして防音を改善し、連続ではなく間歇撮像で記録することによりほとんど騒音のない状態で音を聴取できるようにした。その結果、第一次聴覚野のある横側頭回 (Heschlgyrus) と聴覚連合野のある側頭平面の信号が、撮像騒音で飽和することなく検出可能であった。
著者
志村 洋子 今泉 敏
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.365-371, 1995-07-20
参考文献数
10
被引用文献数
4 3

乳児期の初期の音声による非言語情報表出能力の発達を調べるために, 2ヵ月齢児の音声200サンプルに対して, 9対から成る感性情報に関する項目について成人学生による評定実験を行い, 先に報告した6, 9, 12, 17ヵ月齢児の音声に対する評定結果と比較した.その結果, 2ヵ月齢時の音声からも感性情報に対応する因子, 「快」対「不快」, 「他者との拒否的係わり」対「平静な内情表出」因子などが抽出された.2ヵ月齢時の音声は第1, 2因子平面の中心に特定の方向を持たず分布したのに対し, 6ヵ月齢以降では特定の方向が現れ, かつ個人間差異が多様になった.以上の結果は, 6, 9, 12, 17ヵ月児に比較すると特定の方向性はみられないものの, 音声の非言語的要素を通してコミュニケーション行動を行うのに必要な音声を, 2ヵ月齢児でもある程度発声できることを示すものと考える.
著者
小柳 恭治 志村 洋 山県 浩 永田 三郎
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.55-70, 1980-03-15

本稿は、わが国におけるオプタコン研究の現状を展望したものであり、これまでに明らかにされてきたオプタコン触読における文字パターン認識のメカニズムや、今後さらに研究を要する諸問題について論議を展開した。1.オプタコン触読訓練プログラムにおいても、「文字→単語→語句→文→文章」の順に学習のステップを組むことが、その読み取りの能力を高めるうえに効果的である。2.最初にカタカナおよびひらがなを学習し、そのあとで漢字を学習したほうが、文字パターンの構成要素についての学習効果の転移その他の面で、より有効である。3.アルファベットやカタカタナ、ひらがなおよび字形が比較的簡単な漢字の場合には、いわゆる<決定的特徴・I型>の把握によって、文字パターン識別が可能である。4.しかし、比較的字形の複雑な漢字の場合にはそれだけでは不十分であり、そこに文字パターンの「分解=合成提示」と、文字の"似顔絵"ともいうべき<決定的特徴・II型>の導入により、字形の全体一部分関係の把握を強める手だてが必要である。5.その文字パターンの<決定的特徴・II型>の導入は、それぞれの文字の触覚的な入力パターンと、記憶の中に定着しているそれぞれの文字の標準パターン(原型)との比較照合過程についての情報処理論とゲシュタルト理論とを統合した考え方によるものである。6.オプタコン触読における誤読傾向の分析は、触知覚による文字パターン認識のメカニズムを知るうえに有力な手がかりとなる。とくに漢字の場合の読み誤りの傾向は、盲人の触覚パターン認識と弱視者の視覚パターン認識との間である共通した原理が働くことを示唆するものとして興味深い。7.漢字辞典でいうところのいわゆる伝統的な部首を考慮しながら、オプタコン触読のための新しい部首の設定を行い、それによって文字パターン識別をより効率化するための漢字のグループ分けの研究が今後必要である。8.学年配当教育漢字の画数の平均値をみると、1年生から2年生にかけてかなり増加し、さらに、3、4年生でも若干増えているが、それ以降はほとんど変わりがない。したがって、高学年になると字形が複雑になり、オプタコン触読が困難になるという心配はない。9.目が見えない子どもたちにも、適切な指導をすれば、表意文字としての漢字の成り立ちやその使い方のおもしろさが理解できる。もちろん、そこには個人差がある。10.文字や数字、記号のみならず、図や表、グラフなども、あまり複雑なものでなければ、オプタコンで読み取ることが可能である。11.教育漢字996字を習得すれば、漢字出現頻度数からいって、一般の漢字かなまじり文をかなりの程度読み取ることができる。12.英文タイプやカナタイプだけではなく、「日本語ワードプロセッサ」などとの併用により、盲人用読書器としてのオプタコンの利用価値は、今後さらに高まっていくであろう。
著者
坂井 康子 志村 洋子 岡林 典子 山根 直人
出版者
甲南女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

日本語環境にある乳幼児の音声の分類とそれらの音響分析の結果により,乳幼児音声(喃語を含む)のリズムと抑揚についての知見を得た。加えて,乳幼児音声の「うた度」を評定する聴取実験の結果を分析し,「うた度」の高い音声の特徴を抽出した。以上のように乳幼児音声の分析をおこなった結果をもとに,保育士・教員養成において乳幼児音声をめぐって感得すべき,あるいは配慮すべき点について検討し,論文にまとめた。