著者
杉浦 正好
出版者
一般社団法人 日本メディア英語学会
雑誌
時事英語学研究 (ISSN:21861420)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.44, pp.15-28, 2005-09-01 (Released:2012-11-13)
参考文献数
13

英語の借用語の大部分を占めるのはラテン語やフランス語などのインドヨーロッパ語族系の語彙であるが、日本語の流入も近年多くなりつつある。本稿では第一に、米国の辞典Merriam Webster's Collegiate Dictionary第10版のCD-ROMを利用し、英語の中にどのような日本語語彙が流入したかを通時的に考察した。第二に、この調査で見つかった125の語彙について、オークランド在住の84人のニュージーランド人を対象にどれほど認知されているかを定点観測してみた。その結果、(1)原語である日本語とは意味と用法が微妙に変化していること、(2)上記辞典に収集されている語彙全てが必ずしも一般に認知されているわけではないが着実に英語圏に進出していること、が分かった。比較データとして、コーパスを利用して編纂されたLongman Dictionary of ContemPorary English第4版をも参考にした。データの比較分析をしつつ、今後の研究の方向付けも探ってみた。