著者
増渕 吉一 杉田 恵 茅原 修 蛇沼 俊枝 梶 由依子 佐野 渉
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第59回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.392, 2010 (Released:2010-12-01)

目的:適温での食事提供は温冷配膳車を使用する施設が約半数に達しているが、当院では保温食器利用の為、現状設備において適温での食事提供には問題がある。そこで今回、料理の仕上がり時刻や盛付・配食時間の設定(以下配膳管理)等の工夫により、さらに美味しく食べてもらえる事を目的に適温サービスを行い患者満足度の向上を目指したので報告する。〈BP〉方法:_I_2009年9月から1カ月間の料理の温度計測_II_常食喫食者47名を対象とした適温アンケートの実施_III_喫食時温度が主食60~75℃、主菜60~75℃、副菜10~15℃と料理別に適温の目安を設定_IV_配膳管理徹底後、配膳時間・喫食時間の時差による満足度の変化を調査_V_温冷配膳車のデモ機による食事提供時のアンケート調査〈BP〉結果:_I_料理の温度計測では、主食が盛付時66.5℃から喫食時52.2℃、主菜が63.9℃から39.3℃、副菜が17.5℃から19.5℃となった。_II_現状の温度に「不満」は36%の回答があった。_III_喫食時温度は、主食(米飯)が実施前平均54.6℃実施後平均62.9℃、主菜(シチュー類)が39.3℃から65.3℃、副菜(和え物類)が19.5℃から10.5℃と適温の目安に近づく事が出来た。_IV_配膳管理の改善後は、時差に関係なく90%「満足」との回答が得られた。_V_温冷配膳車デモ機を使用時の満足度は良好であった。「温かい物は温かく、冷たい物は冷たく食べられる事が嬉しい」との意見が得られた。〈BP〉考察:現状把握により盛付時温度と喫食時温度の変化が著しい事が分かり、適温サービス意識が強化した。適温の目標設定により配膳管理が充実し患者満足度が向上したが、気温の変化や病棟による配膳時間の時差等の影響を考慮すると、温冷配膳車の利用が安定した適温サービスに非常に効果的であった。今後も、適温での食事提供には機械に頼るだけでなく常に配膳管理の意識・改善を継続する事の重要性が示唆された。