著者
渡辺 理文 杉野 さち子 森本 信也
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.71-84, 2022-07-31 (Released:2022-07-31)
参考文献数
15

本研究では,理科を専門とする小学校教員1名を対象にし,対象者のもつアセスメント・リテラシーの具体を個性記述的に分析して示した。また,その対象者がアセスメント・リテラシーを自覚的に用いて授業を計画・実践した事例を示した。方法として,AbellとSiegelの提案するアセスメント・リテラシーの理論的枠組みとモデルを援用した。この枠組みとモデルは,評価の目的,対象,方略,解釈・行動に関わる四つの知識で構成されている。半構造化面接によって,対象者のもつアセスメント・リテラシーの具体を分析し,その具体を枠組みにして,小学校第6学年「水溶液の性質」の授業を計画・実践した。結果として,教師が自身のもつアセスメント・リテラシーを自覚的に用いた授業事例を示すことができた。日本の理科教師のアセスメント・リテラシーの分析に,AbellとSiegelの提案する枠組みとモデルは援用可能であった。
著者
渡辺 理文 杉野 さち子 森本 信也
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.159-172, 2021-07-30 (Released:2021-07-30)
参考文献数
20

本研究では,形成的アセスメントの実践を行い,教師のフィードバックの様子や子どもの相互評価・自己評価の様子,教師による指導の振り返りや修正・改善する様子を取り上げて質的に分析・評価した。その方法として,Wiliam(2010)の方略と提案に基づいて授業を計画・実践した。方略は(1)学習目標の共有・理解,(2)学習成果の表出,(3)フィードバック,(4)相互評価,(5)自己評価の5つである。小学校第5学年「物の溶け方」を対象に実践した。実践した授業では,教師と子どもが学習目標を共有し,子どもが表現活動により学習成果を表出し,教師がそれを基にしてフィードバックを行っていた。また,学習は子どもの相互評価と自己評価が行われることで進められていた。さらに,教師は自身の指導を振り返り,修正や改善を図ることで,子どもの学習を適切に支援していた。日本の理科教育にWiliam(2010)の方略と提案は援用可能であった。