著者
林 為人 高橋 学 李 小春 鈴木 清史
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.299-305, 1999-12-10
被引用文献数
4 6

難透水性岩石の透水係数を測定する場合, 供試体を流れる水が極微量であるため, 供試体と被覆材料との間を流れる側面流が発生しないことが正確な透水係数を得る前提条件となる.本研究では, 3種類の異なる方法で被覆を施した白浜砂岩供試体を用いて, トランジェントパルス法透水試験を実施した.その結果, 熱収縮チューブのみによる被覆の場合は側面流が発生し, 透水係数の過大評価を招く恐れがあえることが明らかになった.側面流を防ぐ対策として, 熱収縮チューブを被せる前に, 低粘性シリコンゴムを供試体表面に塗布することによって, 側面流の発生を防げることが判明した.次に, 本研究での実験条件において, 発生した側面流の流量および, 側面流の水みちを円筒形キャピラリーと等価した場合の等価キャピラリー半径を定量的に評価した.等価半径0.01mmほどの側面流水みちは透水試験結果に影響を及ぼすことが明らかになった.さらに, 弾性論に基づいて被覆材料の封圧伝達特性を検討した結果, 岩石供試体の弾性係数が被覆材料のそれ以上あれば, 被覆材料は封圧をほぼ忠実に供試体に伝達できることが判明した.