著者
李 暉
出版者
公益財団法人 竹中大工道具館
雑誌
竹中大工道具館研究紀要 (ISSN:09153685)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.95-138, 2014 (Released:2021-03-20)
参考文献数
56

本稿は、中国北京故宮の修繕組織である「古建修繕中心」に所属する大工が用いる大工道具に関する調査成果を報告するものである。主な内容は、以下の3点に要約できる。 1 中国の大工道具に関する先行研究を整理・分析し、標準編成の提示が最も喫緊の課題であると判断した。その端緒として古建修繕中心における大工道具の標準編成を調査した。 2 標準編成とみなす道具は、全体で54種類72点である。このうち〈刨〉(鉋)が最も種類が多く11種類17点、ついで〈量具〉(定規類)10種類16点、〈鋸〉(鋸)7種類7点、〈鑿〉(鑿)4種類10点である。 3 北京近郊の大工と異なり、北京故宮の修繕組織においては、〈麻葉頭〉という清代組物の木鼻の形をした〈墨斗〉(墨壺)や大型の〈工作台〉(作業台)を用いるという特色がある。
著者
鈴木 智大 李 暉 丁 垚 韓 志晩
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は東アジアの歴史的木造建築の構造システム論の創生に向け、技術的・空間的側面から各国の歴史的木造建築を総合的に分析、比較する研究構想の一部として実施した。具体的には中世日本と中国と韓国における木造建築について、その基礎的な情報および論考を集積・把握し、適宜現地調査をおこなった。そして、上記の基礎的な情報を踏まえ、中国の各時代・各地域の建築について網羅的な検討をおこなった。また中国建築における穿挿枋に着目し、日本建築との関連性を考察した。東アジア建築史著述の端緒となるだろう。