著者
御船 美智子 竹沢 純子 李 秀真
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.56, pp.95, 2004

本研究は、お茶の水女子大学21世紀COE「ジェンダー研究のフロンティア」が2003年度から5年次にわたり実施予定の「家族・仕事・家計に関する国際比較研究-韓国パネル調査-」の初年度データから、家計と家計管理に関する実態と意識のジェンダー差を明らかにすると同時に日本のデータ(家計経済研究所「消費生活に関するパネル調査」等)との比較を行う。なお、日本のデータは女性のみであるのに対し、韓国では男女双方に調査している点が特徴である。結果の概要としては、第一に、夫婦資産総額に占める自分名義資産の割合は夫「9割以上」(45.4%)、妻「なし」(46.1%)であり、韓国では妻の半数が資産を持っていないことが明らかとなった。第二に、収入の所有意識については、両国ともに「夫婦共通のもの」と思う割合が一番高いが、「夫の収入を自分のもの」だと思う妻の比率は、韓国よりも日本のほうが高い傾向がみられた。第三に、「家庭生活への貢献分」は、両国の女性はほぼ同じくらい(5割強)であったが、韓国の男女比較の結果では、男性が女性より自分の貢献分を多いと思う傾向が見られた。第四に、家計管理タイプをみると、専業主婦世帯においては、韓国では男女ともに「手当型(夫が収入の一部のみを妻に渡す)」が2割程度であったのに対し、日本では1割程度であり、韓国のほうが夫によるコントロールが強力であることがうかがわれた。共働き世帯の場合、韓国では「夫の収入も妻の収入もいったん共通の財布にいれ、そこから小遣いを配分する」という一体タイプが男女ともに60%以上であるのに対し、日本では約25%であり、両国で大幅な違いを見せている。