著者
李 節子
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.7-12, 2004
被引用文献数
1

在日外国人の健康問題, 保健医療課題を明らかにすることを目的して, 外国人人口統計・人口動態統計を分析した。以下のことが明らかとなった。<br>・1980年代後半から在日外国人人口, 国際婚姻が急増し, 日本における多民族化が進んでいた。<br>・日系ブラジル人人口は, 20歳代から30歳代の生産年齢人口に集中し, 日本で出生した15歳未満の子どもの人口が年々増加, 定住化傾向がみられた。また, 全死亡数に占める「傷病及び死亡の外因」が高くなっていた。<br>・在日韓国・朝鮮人は高齢化, 少子化が進み, 65歳以上の総外国人登録者人口の8割を占めていた。<br>・「韓国・朝鮮」の三大死因は悪性新生物(がん), 心疾患, 脳血管疾患死因であり, 日本人の死亡動向と類似していた。<br>・在日外国人の健康課題は大きく3つ分類される。在日韓国・朝鮮人については老人保健, 近年, 移住した外国人については母子保健と労働衛生, そしてすべての外国人に対しては, 移住, 異文化, マイノリティであることに起因した精神保健の問題である。
著者
井上 千尋 松井 三明 李 節子 中村 安秀 箕浦 茂樹 牛島 廣治
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.25-32, 2006 (Released:2006-06-09)
参考文献数
17

本研究は、東京都心の医療機関における、1990年から2001年まで12年間の外国人分娩事例のうち、日本語によるコミュニケーションが困難な事例について検討することにより、言語の問題に伴う在日外国人の周産期医療上の課題を明らかにし、その対策について考察した。日本語によるコミュニケーションが困難なことにより、医療従事者と妊産婦との適切な意思伝達の阻害、保健・医療・福祉に関する情報不足、の2点が特有の問題として挙げられた。特に意思伝達の阻害は、病歴や自覚症状の確認困難、相互信頼関係形成と精神的支援の阻害、医療従事者の負担の増大を引き起こし、さらにインフォームドコンセントに基づく医療サービス提供の妨げになっていた。外国人妊産婦に対して、日本人と同じようにインフォームドコンセントに基づいた医療を提供するには、医療通訳制度を整えることが急務の課題であると考えられた。
著者
李 節子
巻号頁・発行日
1995-10-25

報告番号: 乙12522 ; 学位授与年月日: 1995-10-25 ; 学位の種別: 論文博士 ; 学位の種類: 博士(保健学) ; 学位記番号: 第12522号 ; 研究科・専攻: 医学系研究科