著者
李圭建 小西 達裕 高木 朗 白井 克彦 小原 啓義
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.1223-1234, 1994-07-15
被引用文献数
11

本論文では、日本語を母国語としていて、韓国語を学習しようとする学習者が作文演習を行うことを支援する日韓作文演習用知的CAIにおける誤文解析および指導戦略について論じる。日本語と韓国語は語順、文構造が同じであるなど文法的類似性が高い。そのため墓本的な作文の指導法として、日本語の単語を韓国語の単語で直接置き換えさせることによって作文させることから始めることにした。この方法には作文において繁雑な文法説明を行わなくても、ただちに学習者が能動的に学習を行うことができるという利点がある。しかし、この指導法だけでは正確な文にならない場合もあり、学習者にとって学習が困難な部分となる。誤りは両国語の文法の相違点に多く生じるため、それらの部分にきめ細かい教育を行うようなシステム設計を考えるぺきである。本論文では、この指導法における学習者の作文過程と文法の柏違点に巻目し、誤り原因の同定に必要な知識を3つに分類した。(1)表層文字列変形知識。(2)構文構造変形知識。(3)日韓意味対応関係知識。それに基づき、これらの知識を用いる誤文解析手法、誤りに対する指導戦略等を提案した。また試作システムを構築し、その有効性を評価した。