著者
片岡 朋子 片岡 裕 上園 一知 辰巳 丈夫 吉田順一 筧 捷彦 小原 啓義
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.15, pp.61-66, 1996-01-27

蒙古(関連)語は、複数の異なるタイプの文字群で記述されてきた。これらの文字群は、極めて複雑な正書法を持つため、文字コード化及び計算機処理化が進んでいなかった。特にこれらの文字群は、歴史的経緯により、縦書きと横書きでの混在処理が必要とされる。全世界の文字を分析し、一文字の定義と文字を構成する情報を得た。これにより複雑な正書法をもつ蒙古文字に最適な文字コードを決定することができた。この結果、国際化の一環として、蒙古文字を含む全ての文字の混在文書の、単一的機構による一般化した入出力・文書処理が可能となった。Mongolian related languages have been transcribed in different types of scripts which have complicated orthographies - such complexities have inhibited encoding into codesets and text manipulation on computer systems. And it is essential to mix those scripts in both vertical and horizontal directions particularly for historic reasons. Analyses of the scripts in the world have clarified the definition of one character and its constructive information, which made it possible to assign the optimal character codeset(s) for Mongolian scripts having complicated orthographies. As a result, mixed texts of any scripts including Mongolian ones were able to be given generalized I/O and Text Manipulation as internationalization.
著者
小原 啓義 森崎 正人 片岡 朋子 片岡 裕
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究は第1に、ネットワーク・ワイドなMulti-Window Systemsに対応し、それらを国際化する機能モジュール群、すなわち、全文字コードの混在入出力、文字コード非依存の全文字コード混在テキスト処理、ISO 2022/6429を越える通信、Outline Fonts処理、実用に耐える速度と処理能力を持った実用システムとして開発すること目的とする。第2に、これらのモジュール群にMulti-Window SystemsやOSに依存しない高い移植性を持たせ、各種window Systemsに移植し、リアルタイム機能に対応する本格的な国際化マルチ・メディアの基礎ツールとしての実証と、実用システムとしての検証を目的とした。実際の研究としては、まず、全世界の文字の構造と情報交換用文字コードの調査と分類を行った。その結果、文字コードから、処理対象としての文字、文字から表示の二段階の変換を行うことによって、文字コードポイント数、文字、図形数が一致しない、現実の文字列の処理が可能となった。これをもとに、全世界の文字の混在が可能な、入力、出力、基本文書編集(挿入、削除、検索等)及び通信の各モジュール並びにOSへの移植用ライブラリーを作成することを目標として研究と開発を進めた。その結果、POSIXオペレーティング・システムとX Window Systemのスーパーセットとして動作するモジュール群を開発した。既開発の要素技術を基に、既に作成したフォントを用いての、国際化X Window System・ライブラリを開発した。文字コードの規格が存在しない歴史的文字を含む文字対応への検証のため、蒙古系文字群のコード化とフォントの作成を行なった。さらに、結合音節文字の一文字決定のルールを明確にした。その結果、高速な動作が実証され、地域化・国際化・多言語化の明確な定義とその統一モデルが得られた。さらに、蒙古系文字群への対応によって、歴史的文字を含め、適応範囲の広さと実用性を実証した。
著者
石川 明雄 山西正一郎 朝長 宜央 小原 啓義
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告計算機アーキテクチャ(ARC)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.91, pp.25-32, 1993-10-21

本論文では,内部構成モジュールの拡張が容易なプロセッサProteusのアーキテクチャに関する研究について述べる.Proteusは,機能単位であるユニットとブロックを内部バスに接続することにより構成される.ブロックはそれ自体が一つのプロセッサとして動作可能な単位であり,各々に対して与えられるマイクロ命令により制御される.また,ユニットはブロックに対して接続され,その各々はALUやレジスタファイルなどのプリミティブな単位である.ユニットはそれが接続されているブロックに与えられたマイクロ命令により制御される.Proteusは,ユニットの追加により特殊なハードウェア機能の付加,ブロックの追加により並列プロセッサとしての動作が可能である.This paper focuses on the processor architecture of Proteus, which is easy to extend it's internal modules. Internally, Proteus is structured in two types of modules that are Units and Blocks connected to Proteus bus. Each Block works as a processor that is controled with a micro-instruction set provided from the exterior. And each Unit is a primitive modules attached to a Block, for example, Arithmetic Logic Unit and Register File. Units can be controled with a bit field in the micro-instruction set given to a Block. Proteus architecture can add new specific functions by adding new Units, and can work parallel pocessor by adding new Blocks.
著者
大師堂 経明 大場 一郎 相沢 洋二 小松 進一 小原 啓義
出版者
早稲田大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1989

この計画は総じて予算の割に目標が高いために、あちこちで資金難の問題にぶつかるが、とにかく直径20mφのパラボラアンテナ64台の働きをする装置が1億円強でできあがり、観測結果が出始めた。早稲田大学が開発したこの観測装置については、URSI(国際電波連合)総会(1990プラハ)の招待講演で報告し、各国の関係者はその安さに驚いていた。安く建設できた理由は、干渉計のデザインにあたって電磁波の基本的性質(エルゴ-ト的信号と非エルゴ-ト的信号)にまでたちもどって検討を行い、十分時間をかけて試験的研究をおこない、その成果をふまえて大型化するというプロセスをとったからである。手間をかけて開発し、アルゴリズムの最適化を行ったということである。広い視野を高い感度でマッピングするために小型のアンテナを多数、狭い範囲に配置する計画をカナダのドミニオン電波天文台、米国国立電波天文台/NRL、などがもっている。早稲田大学のプロジェクトと似た計画であるが、方式としては従来のフ-リエ合成干渉計のアルゴリズムを使うため100億円以上かかりそうで実現は簡単ではない。以下では1991年5月に提出した交付申請書(今年度の研究実施計画)のうち何が実現でき、何ができなかったかを記す。またできなかった部分についての対策と今後の見通しについて述べる。(*)位相を精密に測るためには、各アンテナに正確なロ-カル信号を送る必要がある。現在8台あるがそれぞれでは1次元像しか得られない。その装置を作る予算が足りないので、民間の財団などへ申請中である(本度の研究実施計画1991年5月)。→山田科学財団より600万円の研究助成が得られ、必要なロ-カル信号発信器64ー8=56台のうち半分ほどをつくるめどがついた。現時点でできる最善のことは、必要な56台全部をつくり、支払いのできない部分についてはメ-カ-から貸与を受け、後日支払を行うやりかたである。成果としては、まず1次元のうち2素子を使って天の川にある超新星の残骸カシオペアAの干渉じまが得られ、1991年10月の日本天文学会で発表した。この天体は、その膨張速度を逆算すると今から250年前にカシオペア座で爆発したはずであるが、世界のどこにもその記録が残っていない。引きつずき、カニ星雲(1054年に爆発した超新星の残骸で、藤原定家の名月記に記録がある)、はくちょう座A(銀河系の外にある電波銀河)、オリオンA(銀河系中の大きな電離水素領域)などの干渉縞が受信された。さらに2素子から8素子への拡張も比較的スム-ズに実現でき、1991年12月には8素子1次元大型アレイにより上記天体の微分像の直接合成に合功した。つまり毎秒2千万枚のカニ星雲やカシオペアA微分像が世界で初めて得られた。これらの結果はリストにあげた論文として報告した。また多くの新聞社、テレビ局の取材を受けた。(*)パルサ-サ-ベイ用の分散消去フィルタ-の概念設計を行う。→これは非エルゴ-ト的信号も観測できる早稲田大学干渉計でなければできないプロジェクトである。概念設計をすすめた結果、既存のパラボラアンテナをそのまま用い、既存のディジタルレンズのほぼ2倍の規模の処理システムでパ-クスを上回る感度でミリ秒パルサ-のサ-ベイが可能であることがわかった。すなわち空間・時間フ-リエ変換を行い、その結果を2乗積分した後に周波数・時間領域で2次元FFTを行う方法(2+1+2次元FFT)である。このシステムは移設が簡単であり、ワイヤ-をたらしただけの14mφの簡易球面アンテナを110m四方に64台展開するだけで、アレシボを上回る感度でパルサ-を捜すことができる。総経費は3億円で、現在、特別推進研究に応募している。これが実現すると世界最大の集光力をもつ電波望遠鏡となり、多くの連星ミリ秒パルサ-を捜していまだに実現されていない強重力場中での一般相対論の検証に貢献できるであろう。
著者
李圭建 小西 達裕 高木 朗 白井 克彦 小原 啓義
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.1223-1234, 1994-07-15
被引用文献数
11

本論文では、日本語を母国語としていて、韓国語を学習しようとする学習者が作文演習を行うことを支援する日韓作文演習用知的CAIにおける誤文解析および指導戦略について論じる。日本語と韓国語は語順、文構造が同じであるなど文法的類似性が高い。そのため墓本的な作文の指導法として、日本語の単語を韓国語の単語で直接置き換えさせることによって作文させることから始めることにした。この方法には作文において繁雑な文法説明を行わなくても、ただちに学習者が能動的に学習を行うことができるという利点がある。しかし、この指導法だけでは正確な文にならない場合もあり、学習者にとって学習が困難な部分となる。誤りは両国語の文法の相違点に多く生じるため、それらの部分にきめ細かい教育を行うようなシステム設計を考えるぺきである。本論文では、この指導法における学習者の作文過程と文法の柏違点に巻目し、誤り原因の同定に必要な知識を3つに分類した。(1)表層文字列変形知識。(2)構文構造変形知識。(3)日韓意味対応関係知識。それに基づき、これらの知識を用いる誤文解析手法、誤りに対する指導戦略等を提案した。また試作システムを構築し、その有効性を評価した。
著者
上園 一知 大矢 俊夫 片岡 朋子 片岡 裕 小原 啓義
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. HI,ヒューマンインタフェース研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.55-62, 1997-01-16
被引用文献数
2

コンピュータネットワークは国際的な発展を遂げたにも関わらず、コンピュータで同時に扱える文字種は制限されているのが現状である。真の国際化計算機環境を実現するためには、既存の文字コードを超えて全ての文字・言語を同時に混在使用可能であることが必須条件となる。特に出力に関しては、表示される文字図形と文字・文字コードの写像関係が常に言語に依存すると見なされ、更に横書き・縦書きといった文字列の表記方向が混在するために,全世界の文字・言語を全て網羅することは非常に複雑で、一般に不可能と考えられてきた。しかし、世界中の文字・文字コード・正書法を分析した結果、少数の関数で図形決定が可能であり、更にその配置手法が明らかとなった。この関数をハードコーデッドせずに実装することで、全世界の文字廟言語が混在したテキストを単一システムで表示可能となった。