著者
村上 久美子 大平 英樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎
巻号頁・発行日
vol.99, no.289, pp.15-18, 1999-09-04

Joint attentionとは他者と共同である対象に注意を向ける行動であり、健常児では10ヶ月齢ころから出現する。これはコミュニケーションを成立させる上で重要な能力であるが、そこに他者の表情の要因が影響するか否かを注視時間と心拍を指標として検討した。他者(母親)が真顔・笑顔・怒り顔のいずれかを表出しつつ対象を注視するとき、笑顔条件では乳児のjoint attention時間がより長く、joint attention潜時がより短く、母親を振り返るreferential lookingがより多いことが明らかになった。またjoint attention開始とともに心拍の一過性の減速がみられ、課題中のLF/HF比が増加した。これはjoint attentionが単なる反射ではなくなんらかの精神活動の反映であることを示唆している。