著者
細馬 宏通
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.190, pp.83-86, 2011-08-19
参考文献数
4

漫才、コントにおけるボケとツッコミはどのようにマルチモーダルな相互作用を達成させているのだろうか。この問いを考えるために、ボケ発語中、もしくは直後とツッコミ行為との間に発生する「身体ノリ」の出現頻度と様式のバラエティを調べた。その結果、「身体ノリ」は観客の有無にかかわらず行われる一方で、観客のいる方が発生しやすく、また、同じネタでも観客の有無によってその表現は異なることがわかった。これらから考えると、「身体ノリ」は、あらかじめ決まった動作というよりは、その場でそのつど産み出される身体動作である可能性がある。さらに、「身体ノリ」の事例についてマイクロ分析を行ったところ、「身体ノリ」とツッコミ行為との間の切断点を強調すべく、最小単位の発語や動作の断片が挿入されることがあることが判った。また、観客の笑いは、ボケに含まれる笑いの認知点の直後に起こるとは限らず、ツッコミ役の行う「身体ノリ」とツッコミ行為によって段階的に起こりうることが判った。
著者
角野 正高 西本 一志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.742, pp.77-82, 2004-03-18
参考文献数
6

本研究の目的は,無意識に表現された身振りやしぐさなどの身体動作に注目し,感情を表出したくても表出しにくい状況での情動表現を検討することである.そこで本研究では,対面場面の中で頻繁に観察される飲み物を飲むという行為に注目し,"コップを置いたり,持ち上げたりする際の圧力"と"コップの軌跡","動作速度"が感情によって変化するという仮説を立てた.これらの仮説を検証するために,被験者9名を対象として,自分の抱いている感情を直接表現できない"やりきれない場"における行動を記録するとともに事後プロトコル分析を行い,被験者が抱いていた感情を評価し,飲む動作と感情との相関を求めた.分析の結果,置く時の圧力の変化,コップを持ち上げてから口に付けるまでの時間は,感情によって有意に異なるという結果が得られた.
著者
前田 和甫 大西 佳太郎 小森 政嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.412, pp.113-118, 2013-01-17

舞踊における動作を、幾何学的形態測定学、および拡張主成分分析の一種である3相PARAFAC(Parallel Factor Analysls)を組み合わせることで解析することを試みた。幾何学的形態測定学は標識点座標を統計解析が容易な正規分布する値に変換する手法である。この手法を用いて、3名の動作者が同じダンスを踊っている際の3次元標識点座標の時系列データを規格化した。規格化されたデータは3相データと見なすことが出来る(すなわち、時系列、標識点、動作者の3相)。この3相データから舞踊動作の因子を抽出するためPARAFACによる分析を行った結果、舞踊の個人特徴に関わる因子が見いだされた。
著者
藤田 英徳 西本 一志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.742, pp.1-6, 2004-03-18
被引用文献数
3

近年のIT技術の発達に伴い,携帯電話やコンピュータを利用したコミュニケーションツールが発達し,遠隔地間でも気軽にコミュニケーションを取る事ができるようになってきた.しかし,既存コミュニケーションツールでは思いやりのような繊細な気持ちを十分に伝え合うことは依然として難しい.その困難の理由として,互いの状況に関する常時的認識と適時性の欠如,また非言語情報の不足が考えられる.本研究では,状況に関する常時的認識と適時性に注目し,気温情報を状況アウェアネス情報として常時伝達しあい,気温変化が生じた際に「あたためる行為」を伝えることにより,遠く離れた親しい人への思いやり感を醸成するシステムを"Lovelet"を提案する.Loveletを用い,二組の遠距離恋愛を行うカップルに約2週間の実験を行い,アンケート調査とログデータに基づき評価を行った.この結果,実際に気温変化に応じた「あたため行為」の伝達が生じ,それによって親しみ感やつながり感が増すことがわかった.また,既存コミュニケーションツールと併用して使用するセカンドコミュニケーションツールとしての有効性も確認され,さまざまな気持ちのやりとりにも使用されていたことも明らかになった.
著者
坂井田 瑠衣 加藤 文俊 諏訪 正樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.455, pp.99-104, 2013-02-25

共食の場をデザインするにあたっては,料理形式や参与者同士の関係性を考慮した上で,相応しい座席配置を決めることが望ましいが,その具体的な配置に関する優劣は明らかでない.そこで,協同調理行為を伴う食卓において,座席配置がコミュニケーションに及ぼす影響を検討した.お好み焼きを協同で調理しながら会話するべく食卓を設定し,調理時と非調理時において生じるコミュニケーションの秩序の差異を,発話者遷移分析により明らかにした.身体が調理行為に拘束される食卓においては,親密度の低い参与者同士を隣同士ではなく向かい合わせに着席させることで,調理によって会話が滞ることなく進展することが示唆された.
著者
向田 茂 鈴木 絢香 磯野 勝宣 加藤 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.29, pp.1-6, 2002-04-12
参考文献数
16
被引用文献数
5

顔輪郭の形状(太め、細め)、表情(無表情、笑顔、悲しみ)そして、化粧(ノーメイク,アイシャドウ,口紅)の組み合わせによる印象の変化について検討した.顔を実験刺激として用いる心理実験では,実験刺激の統制が難しく,慎重に行わなければならない.そこで,本研究では個人の一枚の顔画像から,さまざまな条件の顔画像を合成することで,統制された実験刺激を実現した.実験の結果,赤いアイシャドウとピンクの口紅の組合わせは,青いアイシャドウとピンクの口紅の組合わせよりも,「派手」,「近づきがたい」と評定された.この結果は,アイシャドウのような物理的にはごくわずかな色の差であっても,顔の印象に影響を与えることを示している.
著者
前田 奈穂 大坊 郁夫 前田 貴司 岸野 文郎 北村 喜文 高嶋 和毅 横山 ひとみ 藤原 健 林 良彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.457, pp.49-54, 2010-03-01
参考文献数
17
被引用文献数
3

本研究の目的は,非言語手がかりと関係開始スキルの関連について,話者,会話相手,第3者のそれぞれの観点から検討することである.初対面の大学生で同性同士の66人(男性51人,女性15人)を対象に行った会話実験データを以下のように検討した.関係開始スキルについて自己評定,他者評定,第3者評定を測定することで,非言語手がかり(腕の動き,対人距離,相手に顔を向けている割合,単独発言時間,単独発言頻度,単独発言平均時間)との関連について,レンズモデル(Brunswik, 1956)を用いて検討した.その結果,自己評定,他者評定,第3者評定,いずれにおいても,腕の動きと関係開始スキルの間に正の関連がみられた.
著者
徳永 弘子 湯浅 将英 武川 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.241, pp.7-12, 2007-09-23
被引用文献数
8

ノンバーバル情報に基づく複数人会話の発話交替モデルを提案する.3人が会話をしている映像から会話参与者の視線行動,特に話者が発話中に,一人の聞き手がもう一人の聞き手を見る行動に着目し,分析をした.このときの聞き手の発話したい/したくないというマインドを評定し,その後の発話行動との関係を調べた.その結果,聞き手の視線には,次に発話したい/したくないというマインドが表出され,そのマインドを参与者が相互に理解して,円滑な発話交替がなされることが示唆された.これらの結果から,発話交替における意図理解の階層モデルを提案する.最後に擬人化エージェント,映像対話システムへの応用について述べる.
著者
山本 景子 橋本 光平 倉本 到 辻野 嘉宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.45, pp.211-216, 2012-05-15

創造的な活動において,制作者は対象に集中して作業を行っているため,その後の活動において有用な情報を付与する機会を失っている.そのため,自身の制作物に対してPVR(Post-Valued Recall)の問題が発生する.この問題を解決するために再発見(re-finding)に効果的なインタフェースを構築する必要があるが,創作の作業自体を妨害しないよう,活動プロセスにおける情報を充実させる必要がある.個人的活動の記録である日記においても,作成時に自身の感情をデータとして付与できれば,後の振り返り時に有用であるが,意図的にそれを行うことは感情の性質から困難である.そこで本稿では,日記作成時のキーボードの打鍵間隔時間から感情を推定する手法を提案する.感情ごとの打鍵情報の特徴を評価した結果,悲しみ・怒り・喜び・諦めの4感情のうち悲しみの感情を約7割の精度で推定することが可能であることがわかった.
著者
仲谷 美江 清水 真澄 加藤 博一 西田 正吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.742, pp.7-12, 2004-03-18
被引用文献数
4

思い出は、個人的なものであると同時に話題として用いられることも多い。懐かしさを共有できれば相手に対する親しみが増す。ここでは共同想起の対人機能を利用し、古い流行歌を流して懐かしさを語り合う共感コミュニケーションの場を提供する。流行歌は広く繰り返し人々の耳に入り、多くの人にとって時代を思い出すきっかけになりやすい。特に青春時代の曲は心に残ると言われている。そこで、ユーザの年齢から中学〜高校時代の曲を推定再生し、ユーザの発話状態から曲の適不適を判断して次の曲を再生するというオルゴールシステムを試作した。
著者
小林 正幸 西川 俊 石原 保志 高橋 秀知
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎
巻号頁・発行日
vol.96, no.243, pp.1-6, 1996-09-13
被引用文献数
12

我々は, 高速で文字入力が可能な日本語高速入力システム (ステノワードPCシステム) を2セット用意し, 1セット目で会話内容のひらがな入力とかな・漢字変換を行い, 他のセットで誤字, 脱字等の修正を行う, より正確な字幕をリアルタイムで提示可能な新システムを開発したので, このシステム (連弾入力方式RSVシステム) の機能や特徴, 講義場面での使用結果について報告する.
著者
武川 直樹 峰添 実千代 徳永 弘子 湯浅 将英 瀬下 卓弥 立山 和美 笠松 千夏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.187, pp.31-36, 2008-08-19
被引用文献数
7

食事は栄養をとるだけでなく,人と人のコミュニケーションにおいても重要な役割を果たしているが,食事中のコミュニケーションを分析した研究は少ない.ここでは,食事をしながら女性3人が会話をする映像を収録し,収録した映像データからコミュニケーションの行動を分析した.3分30秒の映像のスクリプトデータを作成し,そのデータを基に食事動作,視線・表情の表出,発話の統計量を調査してテーブルトークの構造を分析した.食事中,一つの口を時間の経過にあわせ,食べる行動,話す行動のどちらかのために選択する必要があるが,人は話しながら次に自分が話し続けるか,食べながら次に話すべきかを,他人の行動と自分の行動を照らし合わせて判断しているためであることが示唆された.また,人は会話への関与が小さくなるに従って,食事に対する積極的なアクセスが見られた.さらに,食事の会話では,次話者の選択は発話交替の瞬間に決まるのではなく,その前からすでになされていることが示唆された.
著者
徳永 弘子 湯浅 将英 武川 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.268, pp.23-28, 2006-09-23
被引用文献数
8

人の自然な会話では,言葉だけではなく,言葉とともに表出される視線や顔向き,表情などのノンバーバル情報が重要な役割を果たす.複数人の会話が円滑に進むのも話の内容と顔から表出されるノンバーバル情報が話したい・聞きたいという意図や戦略をお互いに伝えあうからである.本研究は,複数人が参与する会話における発話交替の仕組みを明らかにするため,3人会話の発話交替・継続の視線行動分析を行う.映像データから発話交替時の話者の視線,次話者となる聞き手の視線,次話者とならない聞き手の視線を分析し,その結果を発話交替遷移モデルとして提案する,特に,ここでは,聞き手の立場に注目し,聞き手が,話者やもう一人の聞き手に向ける視線量,その配分と,次話者になる頻度との対応関係を明らかにし,聞き手の発話意図・戦略を解釈する.聞き手を「話者をより多く見る」タイプと「話者をより少なく見る」タイプに分けて分析した結果,次話者になりたい聞き手,次話者になりたくない聞き手の特異な視線行動パターンが抽出できた。
著者
土坂 恭斗 尾関 基行 岡 夏樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.440, pp.61-66, 2015-01-23

ポケットモンスターの人対人の対戦では,相手との意図の読み合いが一つの魅力である.しかし,ゲーム付属のNon Player Character(NPC)では戦略が単純すぎて意図の読み合いが発生せず,人同士の対戦の練習にはならない.そこで本研究では,対戦相手の意図推定の深さに応じて行動戦略のレベルを選択するNPCを構築し,行動戦略レベルを固定したNPCとの比較実験を行った.
著者
前田 和甫 三浦 麻子 小森 政嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.72, pp.119-122, 2013-05-23

2011年3月11日に起きた東日本大震災は,津波や原子力発電所の事故も伴い,大きな社会的インパクトを与えた.震災の複雑な心理的影響を理解するため,本研究では地震発生から1週間の日本語ツイートメッセージ(1億7千万)を分析した.ツイートは,「東日本大震災ビッグデータワークショップ-Project 311-」に対しTwitter Japan(株)より提供されたものである.これらのツイートから,天災に関連したツイートおよび人災に関連したツイートを抽出し,それらのツイート中の1ツイートあたりのポジティブ・ネガティブ形容詞数を求めた.天災に関連したツイートにおけるネガティブ語の出現頻度は1日を周期とする変動を示した一方,人災に関連したツイートではこのような傾向は認められなかった.この結果は自然災害と原子力災害に対する感情的反応が異なる性質を有していることを示唆している.
著者
高橋 翠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.214, pp.27-31, 2011-09-16

本研究では、進化心理学的観点から男性の顔に対する魅力評価を検討した。先行研究では、社会的手がかり(視線方向と表情)と「男らしさ」として知覚される形態的特徴は、それぞれ魅力に影響を与える要因であることが指摘されるが、それに加えて、魅力に対して相互作用効果をもつことが指摘されている。そこで本研究では、進化心理学的観点から、男性顔の魅力評価における社会的手がかりと「男らしさ」の相互作用効果を規定すると考えられる、女性評定者側の要因(パートナーの有無)に着目し、魅力評価との関連性を検討した。その結果、仮説と整合的な結果が得られ、パートナーの有無という女性評定者側の要因は、男性顔の魅力評価における社会的手がかりと「男らしさ」の相互作用効果のあり様を規定する要因である可能性が示唆された。
著者
飯田 拓也 梶山 朋子 大内 紀知 越前 功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.45, pp.199-204, 2012-05-15
被引用文献数
3

書籍の表紙は直観的に本のイメージを与えるだけでなく,書籍購入前の検索や購入後の本棚散策では大きな指標となっている.本研究では,読者の印象を反映させた書籍表紙画像を自動生成するための第一段階として,内面的な性質や状態を表す形容詞と色の関係性に着目したデータベースを構築し,書籍本文と感想文から表紙色の抽出を試みた.被験者20人に感想文と表紙画像を描画するタスクを与え実験を行った結果,本手法は文章量に依存せず,小説において読者の描いた表紙画像色との一致率が高く,実際に出版されている書籍の表紙よりも読者の印象を反映できることを確認した.
著者
蔭山 洋介 新居 康彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.306, pp.49-54, 2005-09-19

他者の笑顔を観察しているだけで観察者が笑顔になり楽しい気分になることがある.このように情動が伝染することは知られているが, 快感情を伴う自然な笑いと快感情を伴わない作り笑いにおいて情動の伝染にどのような違いが見られるかについての研究は今のところ見当たらない.本研究では, 被験者に面白い映像を視聴させたときの自然な笑いと, 指示によって強制的に表出させた作り笑いを被験者に提示し, 被験者のfacial EMG(顔面筋電図)を記録した.同時に各笑いについての印象を内省報告させた.結果, 自然な笑いか作り笑いかという表出の種別よりも笑いの自然さが情動の伝染において重要であることがわかった.
著者
大坂 友和 前田 良輔 坂東 敏博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.693, pp.41-48, 2002-02-28
被引用文献数
1

表情を伴った顔画像から感情を判断する際に,瞳孔径が及ぼす影響を調べた.喜び,怒り,恐怖の表情を持つ顔画像をもとに,瞳孔径を3段階(大,中,小)に変化させた顔画像の対を被験者に提示し,各感情の現れ方を順位付けしてもらった.その結果,喜びと恐怖の顔画像の感情評価では瞳孔径「大」の順位が高くなり,怒りの感情評価では一部の群で瞳孔径「小」の順位が高くなった.この結果は,顔の感情評価に瞳孔の大きさが影響していることを示し,各感情に伴う瞳孔径変化の特徴を反映した顔画像がより的確に感情を伝える可能性のあることを示唆している.
著者
中根 愛 中谷 桃子 大野 健彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.33, pp.11-16, 2010-05-06

ICT機器の普及が進み,家庭内のネットワークに接続される機器間の配線・設定はますます複雑化してきている.これに伴い,ICT機器の配線・設定作業に対してネガティブな心理状態に陥るユーザが少なくない.本研究ではICT機器の配線・設定作業時に生じるネガティブな心理状態の生起プロセスを,インタビュー調査によって明らかにする.またこれを元にして,ネガティブな心理状態生起を抑制するための指針を構築する.