著者
村上 淳郎 工藤 賢司 平岩 徹夫 鎮西 信夫 苅田 丈士
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙航空研究開発機構研究開発報告 (ISSN:13491113)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-18, 2005-03

水冷スクラムジェット燃焼器の自発着火燃焼性能を、空気総圧、空気総温、燃焼器長さ、壁温そして燃料噴射型式をパラメータとして調べた。水冷スクラムジェット燃焼器には、マッハ数2.5、空気総圧1.0, 1.5, 2.0 MPa、空気総温1200〜2600 K の高温模擬空気が流入する。高温模擬空気は水冷式の高温模擬空気発生装置(VAG)で生成した。水冷スクラムジェット燃焼器は、超音速ノズルを有する水冷スクラムジェット燃焼器試験装置に直結した。燃焼状態は燃焼器内の温度上昇により調べた。燃料垂直噴射時の自発着火性能は、空気総圧が増加すると着火限界空気総温が高くなる傾向にあった。この条件は第2限界付近であった。空気中のH_2O の存在は、高い空気総圧のときに更に着火を遅らせた。空気総温が高い状態では、圧力の上昇によって自発着火性能は改善された。燃焼器が長くなったときの自発着火性能は、垂直噴射では向上した。しかしその度合いは、空気総圧が高くなるほど小さくなった。平行噴射では、自発着火性能は低かった。水冷スクラムジェット燃焼器の着火限界空気総温は、無冷却スクラムジェット燃焼器より高かった。これより着火源は、剥離領域等の燃焼器壁面付近に存在すると考えられた。