著者
村上 純 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.1675-1681, 1993-08-15
被引用文献数
1

入力信号系列がいくつかの正弦波と付加的な白色雑音により構成されている場合に、雑音成分を低減する処理は、ディジタル信号処理の主要な目的の一つである。その手法の一つに、対象とする系のテプリッツ形線形予測モデルを構成して、より低いランクのテプリッツ形近似行列を計算する手法がある。近似行列が求まれば、雑音成分を低減した信号が再現される。具体的な計算方法は、特異値分解(SVD)を利用したWilkesらの方法が一般的に用いられている。しかし、この方法は、SVDを何度も計算するので、かなり計算時間がかかる。そこで我々は、同様な近似行列を計算する、より高速なアルゴリズムを開発した、本手法は、周波数艦定でよく用いられる相関行列を、離散フーリエ変換の回転因子から成るベクトルの積で近似する事法を応用したものである。計算の高速化のためには、固有値計算の一手法であるブロックベき乗法を利用して、すべての特異値を近似的に一度で求めるようにした。