著者
三輪 多恵子 田所 嘉昭 斎藤 努
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.1965-1974, 1998-09-25
被引用文献数
51

近年の自動採譜の研究は, 異種複数楽器により演奏された混合音和音に対するピッチ推定および各楽器音の分離同定を目的とした研究へ, その対象が拡張される傾向にある.ここで, ピッチの推定には入力楽器音の周波数の分析が必要であり, 各楽器音の分離同定には各々の楽器音の抽出および特徴の判別が必要である.しかし, 各楽器音は固有の倍音成分を含み, 混合音和音ではそれらが複雑に重畳するため, 混合音和音の採譜は大変困難であり複雑な計算等が必要となる.筆者らは, 周波数領域において等間隔に零点をもち, 問題とされていた倍音成分の影響を回避できるくし形フィルタを用いたピッチ検出方法を提案した.本システムでは, くし形フィルタを用いて楽器音に含まれるすべての周波数成分を除去し, 零出力の検出によりピッチ推定を行うため, 楽器の種類と数に関係なくピッチが推定できる.本論文では, 各楽器が異なった音を演奏した場合を仮定して, くし形フィルタによる異種楽器和音の推定法と単一楽器音の分離する手法を提案し, その波形情報を利用した楽器判別法の可能性を示した.
著者
森田 健夫 山口 満 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.12, pp.2271-2279, 2004-12-01
被引用文献数
19

自動採譜の実現において,音楽信号の音高を推定する処理は最も重要であり,リアルタイムでの処 理が望まれている.本論文では,多重唱を対象とした計算量の少ない音高推定法を提案する.提案法は,1オクターブ12音名に対応するくし形フィルタを並列接続したシステムと,その出力値を利用することで音高を推定する.これは,くし形フィルタが対応する音の全周波成分を除去可能であること,更に,上述のシステムの最小出力を検出することで,入力中の1音を推定できることに基づいており,加減算主体の処理で簡単に実現される.実際の多重音を用いた評価実験を行った結果,従来法(トリー法,SVD法)より,約1/5から1/30の処理時間でほぼ同等の音高推定結果が得られた.
著者
原田 孝一 川人 祥二 田所 嘉昭
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
計測自動制御学会論文集 (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1-7, 1997-01-31 (Released:2009-03-27)
参考文献数
12
被引用文献数
7 4

It is pointed out that the chewing operation is strongly related to one's health and development of brain cells. But our chewing number is decreasing recently, especially for children. We are requested to make a counting system of the chewing number by a dentist.We consider three methods for counting the chewing number using small pressure sensors, i.e., metal strain gage and semiconductor pressure sensor. The first one is the chin-strap detection method in which the system detects the small expansion of the chin strap with strain gages when one chews food. The second is the ear-plug detection method using a strain gage or a semiconductor pressure sensor. In this method, the small strain of the ear-plug is detected by these sensors. The last one is the head detection method in which the system detects the small expansion of the temporal muscle using the head-band with a semiconductor pressure sensor. These systems also can detect the chewing power.Comparing these methods, it is made clear that the head-band detection method has the best performance and its system can be used easily when one chews food. Its miscount is about 1.3 to 3.1[%] depending on food, and the circuit of this system can be put inside user's pocket.
著者
松尾 聡 合志 和洋 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.20, no.46, pp.85-92, 1996
参考文献数
7
被引用文献数
2

我々は、歩行者の追尾手段としてディジタル携帯電話を用いた歩行者追尾システムについて検討している.これは万歩計, 地磁気センサからの情報を基に歩行者側携帯システム内で計算された位置情報をディジタル携帯電話を用いて基地局へ伝送することにより, 歩行者の追尾を行なうものである.本システムを用いて, GPSによる測位が難しいとされるビルの谷間や地下街, また, 道路の入り組んだ住宅地や山間部などで評価実験を行なった.その結果, いずれの場所においてもかなりの精度で追尾が可能であることを確認できた.また, 歩行者がバスや電車等の交通機関を利用した場合についても、有益な情報を得られることが明らかになった.さらに, 本システムの徘徊老人追尾への適用について検討した結果, 歩行者側システムの小型, 軽量化という課題が挙げられたが、徘徊老人の事故防止のために本システムが有用であることが確認できた.
著者
佐々木 正明 川人 祥二 田所 嘉昭
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌C(電子・情報・システム部門誌) (ISSN:03854221)
巻号頁・発行日
vol.121, no.8, pp.1312-1317, 2001-08-01 (Released:2008-12-19)
参考文献数
14

This paper presents a method for integrating gamma correction and gain control functions on a CMOS image sensor with logarithmic response. The proposed method is based on a fact that gain variation and level shifting in logarithmic compressed domain are equivalent to the gamma correction and the gain control, respectively, in the exponentially expanded domain. The prototype chip integrating proposed function is fabricated with triple-metal double poly-silicon n-well 0.6μm CMOS technology. As a result of calculation using measurement data of test circuits, the gamma value can be adjusted to 0.45 when the gain given in the logarithmic compressed domain is 0.741, and a gain of 20dB is obtained by the voltage level shift of 60mV.
著者
和田 和千 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.88, no.12, pp.1478-1486, 2005-12-01
被引用文献数
9

RCポリフェーズフィルタの性質を一つ明らかにし, その性質に基づいた設計手法を提案している.任意の帯域において, イメージの抑圧特性を任意のチェビシェフ誤差で0へ近似するのみならず, 通過域での振幅特性を平たんに近似することが可能となる.具体的な設計例を通して, 一つの多項式方程式を解くだけで容易に設計でき, かつ平たん性を改善できることを示すとともに, 自由度を生かして多様な設計に応用できることを述べている.
著者
カルワハンディ ササダラ 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.55, no.11, pp.1499-1505, 2001-11-01
被引用文献数
24 2

This paper describes a portable traveling support system that uses image processing to aid the visually impaired. We have already previously proposed a portable navigation system for the visually imparied. However, there are some places where this system is unable to provide the proper guidance. Sincer the travel direction of the user of this system is measured by a terrestrial magnetic sensor, there is a possibility that the wrong direction is measured due to a distortion of the terrestrial magnetism caused by vehicles, etc. Road markings, e.g., pedestrian crossings, white lines of roadways are reliable information that can be used to measure the correct direction. Furthermore, landmarks, e.g., electric poles, traffic-control signs and postal boxes, are also useful for a traveler to confirm his position. Therefore, we applied image processing to our portable navigation system to make it more reliable.
著者
村上 純 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.8, pp.1675-1681, 1993-08-15
被引用文献数
1

入力信号系列がいくつかの正弦波と付加的な白色雑音により構成されている場合に、雑音成分を低減する処理は、ディジタル信号処理の主要な目的の一つである。その手法の一つに、対象とする系のテプリッツ形線形予測モデルを構成して、より低いランクのテプリッツ形近似行列を計算する手法がある。近似行列が求まれば、雑音成分を低減した信号が再現される。具体的な計算方法は、特異値分解(SVD)を利用したWilkesらの方法が一般的に用いられている。しかし、この方法は、SVDを何度も計算するので、かなり計算時間がかかる。そこで我々は、同様な近似行列を計算する、より高速なアルゴリズムを開発した、本手法は、周波数艦定でよく用いられる相関行列を、離散フーリエ変換の回転因子から成るベクトルの積で近似する事法を応用したものである。計算の高速化のためには、固有値計算の一手法であるブロックベき乗法を利用して、すべての特異値を近似的に一度で求めるようにした。
著者
原田 孝一 川人 祥二 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.95, no.177, pp.61-68, 1995-07-22
被引用文献数
1

顎の退化が問題視されている現代の子供たちに、そしゃくの大切さを伝えることができれば、子供たちの健康の向上につながるものと考えられる。筆者らは、そしゃく回数を計測するシステムをできるだけ簡単に実現することを目的として、その検討を行なっている。本稿では、これまでのストレインゲージを用いたあごひも方式による、そしゃく回数検出の問題点を解決するために、ボタン型圧力センサを用いた耳栓方式、ならびにヘアーバンド方式を提案し、その精度を明らかにする。本システムを用いてそしゃく回数の計測実験を行なった結果、耳栓方式では誤差±8[%]以内、またヘアーバンド方式では±5[%]以内の精度でそしゃく回数が計測できることを確認した。また、ヘアーバンド方式を用いたシステムでは、そしゃくの強弱を表すそしゃく力の測定もできることを確認した。
著者
小幡 賢三 野口 健太郎 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.709, pp.9-15, 2002-03-07
被引用文献数
1

我々は,コンサートホール等の大規模建築空間における音源位置推定法を検討している.この音源位置推定は,演出効果に用いられる音像定位の操作を自動化するために必要である.本稿では,3つのマイクロホンで音声信号を受信し,ノッチバンドパスフィルタによって音声からホルマントを抽出し,各マイクロホン間のホルマントの位相差を用いて,一受信点測位法により音源位置推定を行うための基礎特性を与える.位相差検出方法として,零交差情報とフーリエ係数から求める2つの手法を検討し,一般的な位相差検出方法である相互相関を用いた手法との比較を行う.計算機シミュレーションにより,音源位置推定性能を明らかにし,実際のシステムを構築し,その評価を行う.
著者
佐竹 一孝 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.93, no.453, pp.115-122, 1994-01-28

濃霧といった視界制限状態での船舶同志の衝突事故が後を絶えない.現在,衝突事故を防止するものとして,レーダーシステム等があるが,それらは,大型で高価なものとなるため,中小型船舶には塔載していない場合が多い.そこで,船長が12[m]以上の船舶には取り付けが義務付けられている汽笛に着目し,汽笛を利用して他船の相対位置を知る船舶衝突防止システムを提案してきた。汽笛をピンポン方式で送受信することで他船までの距離を測定し,マイクを回転させて汽笛音を受信することで,その到来方向を測定して,他船の位置を求めるシステムである.本システムを用いて,ピンポン方式による距離測定,及び方位角測定の性能評価を行ったので,システムの構成と合わせて上記の結果について報告する.
著者
和田 和千 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.281, pp.47-54, 2001-08-30

ソースフォロワにおける基盤効果による誤差を低減するための回路を提案している.構成が簡単であるなど有利な点が多いソースフォロワの特長を活かせるように, 従来のソースフォロワで一定電位に固定されていた端子を適切に制御することで特性を改善するという指針に基づいている.そして, 参照用のソースフォロワを設け, 誤差を検出する回路の出力で制御を行なう原理を提案している.また, 誤差検出と制御のための回路に望まれる特性を解析により導くとともに, 回路の簡単化のために所望の特性を近似して構成している.理想的なレベルシフト回路が必要とされる例として, 電圧-電流変換を線形化する回路技術に提案回路を適用し, シミュレーションにより歪みが小さくなることを確認している.
著者
和田 和千 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.54, pp.47-54, 2001-09-06

ソースフォロワにおける基盤効果による誤差を低減するための回路を提案している.構成が簡単であるなど有利な点が多いソースフォロワの特長を活かせるように, 従来のソースフォロワで一定電位に固定されていた端子を適切に制御することで特性を改善するという指針に基づいている.そして, 参照用のソースフォロワを設け, 誤差を検出する回路の出力で制御を行なう原理を提案している.また, 誤差検出と制御のための回路に望まれる特性を解析により導くとともに, 回路の簡単化のために所望の特性を近似して構成している.理想的なレベルシフト回路が必要とされる例として, 電圧-電流変換を線形化する回路技術に提案回路を適用し, シミュレーションにより歪みが小さくなることを確認している.
著者
野口 健太郎 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.333-340, 1999-03-25
被引用文献数
23

筆者らは, あらかじめ推定しようとするおおまかな周波数が既知である信号に対し, サンプリング周波数のみを更新する新しい適応周波数推定法を提案した. 本論文では, 前回提案した手法を拡張し, 並列処理による未知周波数に対する適応周波数推定法を検討する. 推定周波数帯域が決められると, その帯域をカバーするいくつかの初期同期信号が設定される. そして, この各同期信号を前回提案したアルゴリズムにより適応的に変化させて, その帯域に存在する周波数を推定する. シミュレーションにより, 従来の周波数推定法と推定精度及び計算量の点で比較し, 本手法の性能を明らかにした. 最後に, 本手法をDTMF信号の検出に適用した.
著者
松尾 剛 山口 満 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DSP, ディジタル信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.719, pp.1-6, 2004-03-09

本稿では,実際に演奏された実楽器音を対象とした,楽器音のスペクトル構造に基づいた楽器推定法を提案する.その原理は,和音の楽器音をくし形フィルタで単音に分離する.そして,このくし形フィルタの特性を考慮して,くし形フィルタの出力スペクトル構造と各楽器音ごとに用意されたテンプレートのスペクトル構造とのマッチングをとることで楽器を推定する.実際の演奏楽器音に対応するため,音の立ち上がり付近(音長の短い音に対応)のスペクトル構造を使用する.また,ある程度の周波数変動にも対応できるように,二重くし形フィルタ(H^d(z) = (1-z^<-N>)^2:零点付近の減衰大)を使用した.さらに,音源分離に使用したくし形フィルタの影響を補正するとき,くし形フィルタの出力スペクトルでなくテンプレートのスペクトルに二重くし形フィルタの利得を乗ずることで,二重くし形フィルタの零点付近の誤差の増大を抑えた.計算機シミュレーションは,ビオラ,バイオリン,ホルン,クラリネット,アルトサックスの5楽器を使用し,音域3-5オクターブの2和音すべての組合せ(重複音は除く)について行なった.その結果,平均推定誤り率10%以下で推定できた.
著者
斎藤 努 松井 孝誌 本多 英基 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, 1996-03-11

楽器音の自動採譜に関する研究として、倍音の影響を無視することができる方式として、くし型フィルタに基づく採譜方式が提案されている。今回はこのくし型フィルタをオーバーサンプリング法を用いて構成し、音階の識別について検討する。
著者
小林 滋 齋藤 努 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-03-06

楽器音の自動採譜システムに関する研究で計算量が少ない方法として、同期加減算法[1] [2]があげられる。今回は、オーバーサンプリング法を用いた同期加減算法によりリアルタイムに音階判別ができる音階判別システムを構築したので報告する。