- 著者
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村井 忠政
- 出版者
- 名古屋市立大学
- 雑誌
- 人間文化研究 (ISSN:13480308)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, pp.49-69, 2006-12-24
1965年のアメリカ合衆国の移民法改正は、それ以前の人種差別的移民制限法の下で保たれてきていたエスニック集団間の均衡を突き崩すという結果をもたらした。65年移民法体制の下、1970年代の合衆国は合法移民、「不法」移民、そして難民を合わせて恐らくは毎年100万を越えると推定される新しい移民の波に見舞われ、ラテンアメリカからのヒスパニックや従来ほとんど認められていなかったアジア系移民の激増を見ることとなったからである。1970年代以降、20世紀初頭の第一の移民の大波に次ぐ第二の大量移民時代にアメリカ合衆国が突入したことを受けて、アメリカの移民研究は現在新しい段階に入っている。本稿では、現代アメリカ合衆国のラテンアメリカとアジアからの「新移民」の同化をめぐる社会学的実証研究に精力的に取り組み、目覚しい成果を挙げているキューバ系アメリカ人社会学者アレハンドロ・ポルテスに着目し、彼の移民の同化をめぐる議論に焦点を当てることにする。本稿のねらいは、(1)アメリカ合衆国における20世紀初頭の新移民と現代の「新移民」の比較考察をすることで、現代の「新移民」の同化が持つ多様性、独自性を明らかにすること、(2)さらに、これら「新移民」の第二世代に当たる子どもたちが、現代アメリカ社会に適応し、社会経済的地位を向上させていくためには、いかなる条件が必要とされるかを明らかにすることにある。