著者
村原(田中) 京子
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.81-93, 2002

18世紀初頭,ヨーロッパを制覇した商業都市ロンドンで,G. F.ヘンデルのイタリア・オペラが受け入れられ高く評価されたが,その文化土壌を探るために,先ず17世紀初頭に至るイギリス演劇(とりわけシェークスピア劇)と音楽の歴史を辿った。次に17世紀イギリスの社会変革(ピューリタン革命,王政復古,名誉革命)の中で,芸術文化が如何に崩壊,再興を繰り返していったかを考察,その上にヘンデル・オペラの受容を位置づけた。特に当時の新聞等の記録をOtto Erich Deutschの<Handel A Documentary Biography>(1955)から抽出考察した。また,当時のイギリス王室との関係,及びヘンデルがオペラ劇場経営の上で遭遇した様々な出来事(オペラをめぐるトーリー党とホイッグ党の争い,歌手の争い,敵対する劇場との争い等),社会的乳棒,オペラ界内部の乳棒に焦点をあて,ヘンデル・オペラの側面を求めたものである。