著者
村山 伸江 黒田 郁子 小長谷 正明
出版者
Japanese Society of National Medical Services
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.646-649, 2002

1997年クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)がマスコミを賑わしている最中に, 当院にCJDの紹介があった. 入院を受け入れるにあたり, 感染などの恐れから職員の不安は大きく, 辞職を申し出る職員も出現した. 病院幹部をはじめとして, 施設全体の協力を得ながら職員教育と感染防止対策の徹底を図った. ウイルス性肝炎なみの防護体制をとるとともに, 職員教育では感染効率が低いことと, 通常の看護業務では安全であることを強調した. そして, 病棟の受入れ体制をスタッフとともに整備した結果, 医療事故も辞職者もなく, 終末まで無事患者を看取ることができた. 受入れ当初は試行錯誤の中であり, CJDの学問的見地からすると, 感染防止対策は厳重すぎた点も多く, 今後は, 当施設に応じたCJD受入れ体制を検討する必要がある.