著者
小長谷 正明
出版者
日本医事新報社
雑誌
日本医事新報 (ISSN:03859215)
巻号頁・発行日
no.4815, pp.66-69, 2016-08-06
著者
村山 伸江 黒田 郁子 小長谷 正明
出版者
Japanese Society of National Medical Services
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.646-649, 2002

1997年クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)がマスコミを賑わしている最中に, 当院にCJDの紹介があった. 入院を受け入れるにあたり, 感染などの恐れから職員の不安は大きく, 辞職を申し出る職員も出現した. 病院幹部をはじめとして, 施設全体の協力を得ながら職員教育と感染防止対策の徹底を図った. ウイルス性肝炎なみの防護体制をとるとともに, 職員教育では感染効率が低いことと, 通常の看護業務では安全であることを強調した. そして, 病棟の受入れ体制をスタッフとともに整備した結果, 医療事故も辞職者もなく, 終末まで無事患者を看取ることができた. 受入れ当初は試行錯誤の中であり, CJDの学問的見地からすると, 感染防止対策は厳重すぎた点も多く, 今後は, 当施設に応じたCJD受入れ体制を検討する必要がある.
著者
小長谷 陽子 小長谷 正明 渡邉 智之 鷲見 幸彦
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.109-115, 2014-02-01 (Released:2014-02-28)
参考文献数
29
被引用文献数
3 2

アルツハイマー病患者156人に対して時計描画テスト(clock drawing test; CDT)をおこなった.量的評価の総得点はMMSE(mini-mental state examination)総得点と有意な正の相関を示し,針に関する下位項目の正反応率は他の項目にくらべ低いものが多かった.Rouleauらの方法による質的評価のエラーでは「空間・計画障害」と「概念障害」の割合が高く,エラーのある群はない群にくらべ,MMSEおよびCDT総得点が有意に低かった.認知機能障害が重症になると質的エラーを示す人の割合は高くなった.CDTにより,認知機能障害の有無や全般的重症度だけでなく,概念障害,視空間認知障害,前頭葉機能障害などの個別の認知機能障害のいくつかを評価することができると考えられた.
著者
小長谷 陽子 渡邉 智之 小長谷 正明
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.335-341, 2009 (Released:2009-07-08)
参考文献数
13

愛知県内のすべての医療機関,介護福祉施設などを対象に,若年認知症の実態調査をおこない,1,092人(男性569人,女性520人,性別不明3人)について原因疾患と有病率を解析した.調査時平均年齢は60.7±7.1歳,発症年齢は55.1±7.8歳であった.原因疾患は全体では,アルツハイマー病(AD)(34.9%),血管性認知症(VD)(34.1%)が多く,次いで前頭側頭型認知症(5.9%),パーキンソン病(3.6%)であった.男性ではVD,AD,FTD,PDの順であり,女性ではAD,VD,FTD,PDの順であった.人口10万人当たりの推計有病率は60∼64歳で男性182.2人,女性150.6人,55∼59歳ではそれぞれ90.6人,81.7人であった.

1 0 0 0 OA 多系統萎縮症

著者
小長谷 正明
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.159-165, 2003-03-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
45

多系統萎縮症は運動失調, 治療抵抗性パーキンソニズム, 自律神経症状など, 複雑な病状を呈する神経変性疾患である. 筋萎縮性側索硬化症に匹敵するほどの難病であり, 神経難病を診療する国立療養所への入院患者は少なくない. 国立療養所鈴鹿病院での筆者の長期経過観察例の経験に基づいて, 本症の病態についてレビューした. 画像による橋・小脳系や錐体外路系の萎縮進行, 入浴時低血圧, 悪性症候群, 中枢性呼吸障害, 内分泌障害, および, 臨床, 画像, 病理面からの進行性大脳半球萎縮について述べた. 臨床的検討や病理例を集約し, 病院の解明や治療法の開発を行うことが重要である.
著者
齋藤 由扶子 坂井 研一 小長谷 正明
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.152-157, 2016-04-25 (Released:2016-05-31)
参考文献数
10
被引用文献数
1

目的:かつてスモン(SMON:subacute myelo-optico-neuropathy)患者には認知症は少ないと言われ,原因の一つにキノホルムのアミロイドβ凝集阻害効果が推測された.一方キノホルム中止後40年以上が経過し,スモン患者は高齢化し老年症候群である認知症の増加が予想された.そこでスモン後遺症をもつ高齢者の認知症の有病率,および現在のアルツハイマー病(以下ADと略す)発症に過去のキノホルム内服量が影響しているかを調査した.方法:対象は2012年スモン検診において,MMSEを解析しえた647例(男性195例,女性452例,平均年齢77.9歳)である.1次調査(MMSE)の結果23点以下は105例であった.2次調査:105例の認知症の有無と背景疾患を,検診を行った神経内科医あるいはかかりつけ医に質問した.次に検診のデータベースを用い「最も重度であった時のスモン症候の重症度」と現時点のAD合併との関連を解析した.結果:認知症の有病率の推定値は9.9%(95%信頼区間:7.3,12.7%),65歳以上に限定すると10.9%(7.9,13.8%)であった.認知症35例のうちADは25例,ADと血管性認知症の合併は4例であった.AD合併と過去に最も重度であった時のスモンの重症度との関連性は,視力障害,歩行障害のいずれにおいても認められなかった.結論:2012年スモン検診受診患者における認知症の有病率は9.9%(65歳以上では10.9%)で65歳以上地域住民(15%)に比べて低値であった.しかし本研究では,対象が検診患者のみでスモン全体を反映せず過小評価の可能性がある.従ってキノホルムのAD発症予防効果は言及できない.キノホルム量はスモンの重症度と関連するため,現時点のAD合併は過去に内服したキノホルム量と関連はないと推察した.