著者
村瀬 忍 池谷 幸子 林田 宏一 池谷 尚剛
出版者
一般社団法人 日本LD学会
雑誌
LD研究 (ISSN:13465716)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.123-131, 2020 (Released:2020-12-01)
参考文献数
25

日常的にまぶしさを感じていたASDのある男子中学生1名に遮光眼鏡を装用してもらい,効果を検討した。まず,遮光眼鏡の文字の読みへの効果をMNREAD-Jを用いて検討したところ,遮光眼鏡を装用することですぐに文字が読みやすくなるという結果は得られなかった。次に,遮光眼鏡を1カ月間自由に使ってもらい,行動や心理の変化をインタビュー調査とQOL評価とで検討した。インタビュー調査から,遮光眼鏡の効果は,まぶしさが減ったこと,取り組みの意欲が高まったこと,見えにくさの理解が高まったことであるとわかった。QOL評価の結果からは,遮光眼鏡使用後に自尊感情が高まった可能性が示された。これらの結果から,遮光眼鏡は即時的に読み能力は向上しなくても,まぶしさを感じているASDのある子どもへの,取り組み意欲や自己理解を促す支援として,有効な方法であることが示唆された。
著者
村瀬 忍 松下 光次郎 池谷 尚剛
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、黙読時の視線の動きが言語処理に関わる神経活動を反映することを利用して、視線計測を用いた吃音評価方法を検討することを目的とした。成人吃音者5名および成人非吃音者15名を被験者として、意味的逸脱のある日本語の文章の黙読における視線の動きを測定した。その結果、標的語の注視時間は、吃音者において長い傾向があることが明らかになった。本研究ににおいては、吃音者は非吃音者の言語処理特性の違いについても追試を行った。その結果、吃音者は非吃音者に比較して、言語処理に時間がかかっている可能性が示唆された。さらに、この吃音者と非吃音者との時間的な相違は、視線計測の方法でも捉えられる可能性が示された。