著者
佐藤 陽子 村田 美由貴 千葉 剛 梅垣 敬三
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.157-165, 2015-08-25 (Released:2015-09-03)
参考文献数
29
被引用文献数
2 6

ワルファリンはビタミンKと相互作用を起こすことから,その服用者にはビタミンK摂取制限が指導されるが,制限を過度に意識すると摂取不足やQOLの低下を招く.そこで,ワルファリン服用者が許容可能なビタミンK摂取量の幅を検討するため,ワルファリンとビタミンKの相互作用による有害事象論文の系統的レビューを行った.論文は2014年10月に2つのデータベースにて検索し,採択した16報より摂取の上限量を,6報より下限量を検討した.その結果,ワルファリン服用者におけるビタミンK摂取量は,25~325 μg/日の範囲で,日ごとの変動幅は292 μg未満に収め,150 μg/日の摂取を目指すことが適切と考えられた.この結果から,日本人の主なビタミンK供給源のうち,禁止すべき通常の食品は納豆であり,緑黄色野菜は摂取量の調節をしながら摂取できることが示された.