- 著者
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佐藤 陽子
中西 朋子
千葉 剛
梅垣 敬三
- 出版者
- 日本公衆衛生学会
- 雑誌
- 日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
- 巻号頁・発行日
- vol.61, no.7, pp.321-332, 2014 (Released:2014-08-08)
- 参考文献数
- 25
- 被引用文献数
-
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目的 葉酸には天然型と合成型(folic acid)がある。胎児の神経管閉鎖障害(NTD)リスク低減に対する葉酸摂取の意義は明確で,妊娠可能な女性には利用効率の良い folic acid 摂取が推奨されているが,我が国の NTD 発症率に減少傾向はみられない。本研究は,妊婦における葉酸の摂取時期や摂取量に関する認識と folic acid 摂取行動に影響を与える要因を全国規模で明らかにし,現状の問題点を把握することを目的とした。方法 2012年 1 月に,インターネットを用いた質問調査を実施した。調査会社の登録モニターである20~40代の妊婦2,367人を対象とし,1,236人から回答を得た。調査項目は,属性,葉酸および胎児の NTD に対する認識と行動,サプリメント利用状況とした。妊娠 3 か月までの folic acid 摂取行動と他項目との関連を,クロス表における χ2 検定にて,また,属性との関連については,非摂取群を基準としたロジスティック回帰分析にて検討した。結果 85.2%の妊婦が妊娠中に意識的に葉酸を摂取しており,その多くは妊娠 1 か月以降から,錠剤・カプセルなどのサプリメントから folic acid として摂取を開始していた。妊娠 3 か月までの folic acid 摂取行動は,葉酸に関する認識,サプリメント利用経験と関連が認められ,さらに,若年,第 2 子以降の妊娠であることが負の影響を示した。結論 多くの妊婦が妊娠中に folic acid をサプリメントから摂取していたものの,その開始時期は NTD リスク低減のためには遅すぎることが示された。今後の NTD 予防のための folic acid 摂取の対策として,経産婦も対象に含めた正確な情報提供の他,folic acid を添加した加工食品の利用の推奨,食材への folic acid 添加の推進など,新たな対策に向けた検討が必要である。