著者
安岡 義人 中島 恭子 村田 考啓 紫野 正人 近松 一朗
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.374-380, 2015 (Released:2016-03-31)
参考文献数
10

過去 6 年間に当科外来を受診した15歳以下の小児鼻出血77例の血管病態を電子内視鏡の通常光と狭帯域光観察(narrow band imaging: NBI)を用いて診断し,好発部位と血管形態別 6 型分類の特徴を明らかにした。好発部位は95%以上が鼻中隔前下方皮膚粘膜移行部付近とキーゼルバッハ部であった。血管形態分類では線状型(linear type)39例(50.6%),網状型(reticular type)34例(44.2%),肉芽型(granular type)2 例(2.6%),点状型(punctate type)1 例(1.3%),瘤型(aneurysmal type)1 例(1.3%)で陥凹型(recessed type)は該当例がなく,静脈性出血であった。小児の鼻出血の好発部位と血管病態に基づき,小児の鼻出血の初期対処法は患側の母指で鼻翼を正中の鼻中隔に圧迫し,手掌は開き他 4 指を対側下顎角部に当て挟む,母指圧迫止血法:thumb press maneuver (TPM)が合理的で効果的な止血法である。