著者
東浦 将夫
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.135-142, 1972-02-01 (Released:2008-12-24)
参考文献数
3

降雨が地下水位の上昇に関係していることは明らかであるが,地下水位上昇の割合は土性が同じでも降雨特性・先行降雨条件・蒸発散量などに左右されて変る.筆者は自然状態の砂質地において地表に降った雨が地下水位の変化にどのような影響を与えるかを,降雨特性と地層の性質から調べた.調査地域としては,地下水面が地表に近く,地下水の水平的な補給の影響がほとんどなく,潮汐の影響もみられない等の諸条件を考慮し,鹿島南部砂丘地を選定した.測器は地下水位に自記水位計,雨量に自記雨量計,浸透量に自作の浸透計を使用し,土湿の測定は炉乾燥法で行なった. 1967年6月27日から9月25日の3ヵ月間の連続観測から次の結果を得た.降雨前の土湿不足が地下水位上昇に影響を及ぼす.ほぼ同量の降水量であっても,降雨期間,先行降雨の状態により地下水位の上昇量や浸透量が違う.期間が長くなるととくに蒸発散量の影響が無視できなくなる.