著者
小塩 高文 東野 一郎 笹沼 道雄 増岡 俊夫 久田 秀穂
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
東京大学宇宙航空研究所報告 (ISSN:05638100)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.1195-1207, 1966-09

太陽水素ライマンアルファー線(1,216Å)ふく射強度の高度分布を求めるために次のような三つの電離箱をロケットに載せて観測を行なった. 1)各電離箱はNO(10cmHg)気体で充され,LiFの窓を持っている. 2)直流増幅器の入力抵抗は検出器No.1,No.2およびNo.3についてそれぞれ10^8,10^9,および10^10オームである. ロケットは1965年12月13日15時20分に鹿児島宇宙空間観測所より東南55度の方向に打ち上げられ,319kmの高度に達した.ふく射強度の高度分布から吸光係数(μ_p),および吸収率密度(単位体積当り吸収される光子の数α)が求められた.αの最大値の高度は85kmであった.酸素分子の密度分布は高度80,85,90kmでそれぞれ1.1×10^14,4.0×10^13および2.0×10^13particles/cm^3と推定された.高度40kmから70kmにわたって異常なふく射強度がある限られた到来方向で観測された.記録の波形から,この異常ふく射は太陽ふく射とは異なるものであり,その強度は高さの増加につれて減少しているようである.おそらくロケットに伴う衝撃波によるものと考えられる.
著者
東 茂 東野 一郎 久保添 忠嘉 小田 稔 小塩 高文 柴田 啓行 渡辺 健二 渡瀬 譲
出版者
素粒子論グループ 素粒子研究編集部
雑誌
素粒子論研究 (ISSN:03711838)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.509-529, 1953-04

我々は地下宇宙線について得られて居た知識が非常に少く,基礎的定量的なdataを欠いていること,しかし地下では割にelementaryな現象を見易いかもしれないし,又上空の宇宙線や新粒子等についても地下宇宙線の知識が案外大きな役割を果すかも知れないこと等に注目して,1951年初め頃から地下宇宙線の研究にとりかヽつた。その後Georgeは"Progeress in comic ray physics"の中で1951年の地下宇宙線に関する研究をまとめて可能な限り統一された像をつくりあげ,更に最近Amaldietal, Cornellの人達等によつて知識がつけ加えられた。我々は出来る限り色々な側面から地下て起きて居る現象をつかんで,はつきりした像をつくり上げて行きたいと思つて居る。その手はじめにこれから述べるような実験を進めて居る。未だまとまつて居ないけれどもこヽに中間報告して,当面の事,ずつと先の事を問わずsuggestionなり御協力なりを得られヽば幸である。実験の場所は静岡県焼津郊外のトンネルである。