著者
柿原 加代子 大野 晶子 東野 督子 水谷 聖子 沼田 葉子 小笹 由里江 三河内 憲子
出版者
日本赤十字豊田看護大学
雑誌
日本赤十字豊田看護大学紀要 = Journal of Japanese Red Cross Toyota College of Nursing (ISSN:13499556)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.153-159, 2012-03-31

継続勤務している看護職のキャリアアップに対する認識を明らかにすることを目的として、中部ブロック管内2施設の赤十字病院に継続勤務している看護職16 名を対象に、半構成的面接を行った。その結果、キャリアアップに関する認識として、8 つのカテゴリーが抽出された。 看護職は[看護師長のマネジメント能力]の影響を受けながら、[職場が形成するキャリアアップ志向]を育んでいた。キャリアアップには、[経済的自己投資]が必要であった。また、自身が出会う[専門・認定看護師の正負のイメージ]がキャリアアップの方向性に影響していた。看護職は[誰にも潜む仕事継続の危機]をもっていたが、[ワークライフバランスの重視]をしながら、[看護への職務満足感]や[ 「やめられない」という消極的意思]が仕事継続の動機づけになっていた。以上より、看護師長がマネジメント能力を発揮し、看護職の働く意欲に配慮し、キャリアアップ志向を形成できる職場風土をつくり挙げる必要性があると示唆された。
著者
東野 督子 神谷 和人 藤井 徹也
出版者
日本赤十字豊田看護大学
雑誌
日本赤十字豊田看護大学紀要 (ISSN:13499556)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.135-140, 2015

医療施設において耐性菌で最も多く分離されるmethicillin-resistant Staphylococcus aureus(MRSA )は、材質によっては30 日以上の生存が確認され、殺菌効果があるとされる銅や真鍮においても牛胎児血清が加わるとS. aureus の15日以上の生存が示された(東野・神谷、2011、2012)。本研究では、療養環境に生存する病原微生物を除去できる住宅用洗剤の使用に関する検討を行う。 方法は、EN 13697(European Norm:欧州標準規格)を踏まえて、日本石鹸洗剤工業界の方法を参考にして、牛胎児血清が加わったMRSA などの疑似汚染における水拭き清掃と環境消毒剤含有の環境用合成洗剤を使用した細菌の生菌数の減少率を比較した。試験菌の付着片作成法:非耐性株であるmethicillin-sensitive Staphylococcus aureus〔MSSA( ATCC29213 株)〕、及びMRSA であるATCC43300 株を用いた。試験菌の付着片は、ステンレス片を2cm× 2cm 大にカットし滅菌した後に牛胎児性血清を含む菌液を滴下しデシケーター中で乾燥させ作成した。試験菌の回収は、供試薬剤100μℓ を1 分間作用させた後、消毒効果を止めるための中和剤の使用の有無の比較で行った。 四級アンモニウム塩の効果は1 分以上の作用を必要とする。四級アンモニウム塩を含む環境用合成洗剤であっても、1 分より短い接触時間で乾燥する程度の使用量では、四級アンモニウム塩配合の効果を期待できない。 Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA), the most frequently isolated resistant bacterium in medical institutions, has been demonstrated to survive for over 30 days, depending on the materials on which they grow. S. aureus has been shown to have the ability to survive for over 15 days even on copper and brass, which are said to be bactericidal, in the presence of fetal bovine serum (FBS) (Higashino and Kamiya,2011,2012). In this study, the efficacy of environmental detergents in eliminating pathogenic microbes surviving in medical treatment environments was evaluated. Based on EN 13697 (European Norm), taking into account the method recommended by the Japan Soap and Detergent Association, the rates of decrease of the viable bacteria were compared between wiping with water alone and wiping with a environmental detergent containing an environmental disinfectant for pseudo contamination, such as MRSA growing in FBS. Method of preparation of the small pieces of material carrying the test bacteria: Methicillin-sensitive Staphylococcus aureus (MSSA [ATCC29213]), which is non-resistant strain, and the MRSA strain, ATCC43300, were used. Small pieces carrying the test bacteria were prepared by cutting a stainless steel plate into 2 cm × 2 cm pieces, sterilizing the pieces, dropping bacterial solution containing FBS on them, and then drying the pieces in a desiccator. The test bacteria were recovered after applying 100 μℓ of the test detergent to the pieces for one minute and then using a neutralizing agent. Environmental detergents containing quaternary ammonium salt were bactericidal only when the application time was longer than one minute. Bactericidal effects cannot be expected of environmental detergents, even when they contain quaternary ammonium salt, if the contents of these compounds are so small as to cause drying of the detergent within one minute of application.
著者
東野 督子
出版者
日本赤十字豊田看護大学
雑誌
日本赤十字豊田看護大学紀要 (ISSN:13499556)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.33-39, 2010-03

本調査は、イギリスの本学と同規模の看護大学での、成人看護学の教育現状とその中の「感染看護」について『どのような教育がされているのか』の示唆を得る目的で資料を収集した。Oxford Brookes University のAdult Nursing の担当教員へのインタビューや授業見学及び実習病院を見学して資料を収集した。Adult Nursing の実習目標は27 項目あり、この中に感染看護に関連するUniversal Precaution/Infection Control が含まれていた。実習記録のフレームは「実習指導者、単位認定者と学生とのコミュニケーション」、「実習実施の確認記録」、「学生自身が目標達成を計画する」の3 つの効果をねらって作成されていて、学生は「知識」、「技術」、「態度」の視点が示されている27 個の目標を「1.観察、2.監督下の元で看護を提供、3.手助けなく一人で行う」という段階を踏んで3 年間で目標を達成しながら学習する。のように年単位で積み上げていく記録を用いて看護の実践を体験することで、看護職を基盤として生涯にわたる学習をすることに繋がっていくと考える。