著者
柿原 加代子 大野 晶子 東野 督子 水谷 聖子 沼田 葉子 小笹 由里江 三河内 憲子
出版者
日本赤十字豊田看護大学
雑誌
日本赤十字豊田看護大学紀要 = Journal of Japanese Red Cross Toyota College of Nursing (ISSN:13499556)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.153-159, 2012-03-31

継続勤務している看護職のキャリアアップに対する認識を明らかにすることを目的として、中部ブロック管内2施設の赤十字病院に継続勤務している看護職16 名を対象に、半構成的面接を行った。その結果、キャリアアップに関する認識として、8 つのカテゴリーが抽出された。 看護職は[看護師長のマネジメント能力]の影響を受けながら、[職場が形成するキャリアアップ志向]を育んでいた。キャリアアップには、[経済的自己投資]が必要であった。また、自身が出会う[専門・認定看護師の正負のイメージ]がキャリアアップの方向性に影響していた。看護職は[誰にも潜む仕事継続の危機]をもっていたが、[ワークライフバランスの重視]をしながら、[看護への職務満足感]や[ 「やめられない」という消極的意思]が仕事継続の動機づけになっていた。以上より、看護師長がマネジメント能力を発揮し、看護職の働く意欲に配慮し、キャリアアップ志向を形成できる職場風土をつくり挙げる必要性があると示唆された。
著者
河合 利修
出版者
日本赤十字豊田看護大学
雑誌
日本赤十字豊田看護大学紀要 = Journal of Japanese Red Cross Toyota College of Nursing (ISSN:13499556)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.77-79, 2011

人道法国際研究所(International Institute of Humanitarian Law)主催の「国際人道法の現代的課題に関する第33 回円卓会議」(XXXIIIrd Round Table on current problems of IHL)が、「世界規模の暴力-影響と対応」(Global Violences:Consequences and Responses)のテーマのもと、平成22 年9 月9 日から11 日まで、イタリア・サンレモ(San Remo)において開催された。イタリア北西部に位置し、フランス・ニースに近いサンレモは、地中海に面する保養所という雰囲気であり、音楽祭が有名である(現在でも、音楽祭は続いている)。これは、日本赤十字社から会議に派遣された小職の報告である。
著者
河合 利修
出版者
日本赤十字豊田看護大学
雑誌
日本赤十字豊田看護大学紀要 = Journal of Japanese Red Cross Toyota College of Nursing (ISSN:13499556)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.77-79, 2011-03-31

人道法国際研究所(International Institute of Humanitarian Law)主催の「国際人道法の現代的課題に関する第33 回円卓会議」(XXXIIIrd Round Table on current problems of IHL)が、「世界規模の暴力-影響と対応」(Global Violences:Consequences and Responses)のテーマのもと、平成22 年9 月9 日から11 日まで、イタリア・サンレモ(San Remo)において開催された。イタリア北西部に位置し、フランス・ニースに近いサンレモは、地中海に面する保養所という雰囲気であり、音楽祭が有名である(現在でも、音楽祭は続いている)。これは、日本赤十字社から会議に派遣された小職の報告である。
著者
長江 美代子 土田 幸子
出版者
日本赤十字豊田看護大学
雑誌
日本赤十字豊田看護大学紀要 = Journal of Japanese Red Cross Toyota College of Nursing (ISSN:13499556)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.83-96, 2013-03-31

精神障がいを持つ親と生活している子どもの生活と成長発達への影響について、統合的文献検討研究の手法を用いて探求した。29 件の対象文献のほとんどは母親の影響に焦点を当てているが、父親のアルコール・薬物乱用による家族機能の破綻が養育環境を悪化させていた。子どもの成長発達に関する研究報告で共通しているのは、子どもにとって、親が病気であることを知りその病気を正しく理解することが不安を軽減し、生きやすくすることにつながるということであった。しかし現状では大人は子どもに事実を隠し、子どもが聞きたくても聞けない状況をつくりだしていた。親の精神障がいが子どもの成長発達に与える影響は、精神障がいの親の直接的な養育態度のみならず、夫婦関係、他の家族員の健康、経済的状況など、間接的な要因を考慮して捉える必要がある。また、このような親子を孤立させないように、社会と繋ぎ、子どものレジリエンスを活性化できる支援が必要である。
著者
小出 淳貴 森田 一三
出版者
日本赤十字豊田看護大学
雑誌
日本赤十字豊田看護大学紀要 = Journal of Japanese Red Cross Toyota College of Nursing (ISSN:13499556)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.45-54, 2019

わが国では、肺炎に罹患して死亡する高齢者が増加し、2011 年に死因別死亡者数で肺炎が脳血管疾患を抜いて第3 位となった。今後、肺炎治療が社会保障関係費を圧迫することが懸念される。肺炎の都道府県別年齢調整死亡率は1 位と47 位の県で差異があるが、その背景については十分に検討されていない。そこで、各都道府県における医療・社会環境と肺炎の年齢調整死亡率との関係を明らかにすることを目的とした。都道府県別の肺炎年齢調整死亡率と医療・社会環境の相関を分析した結果、人口10 万人当たりの准看護師数、准看護師率、医療施設数に相関がみられた。准看護師数、准看護師率が相関した背景の1 つに、看護師との教育の差が推測された。看護学学士号を持つ看護師が多い医療施設は患者死亡率が低下するなどの先行研究から、看護師教育の充実化や看護学学士号を持つ看護師を増加させることが肺炎の年齢調整死亡率の低下をもたらすことの可能性が示唆された。
著者
小林 尚司
出版者
日本赤十字豊田看護大学
雑誌
日本赤十字豊田看護大学紀要 = Journal of Japanese Red Cross Toyota College of Nursing (ISSN:13499556)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.19-26, 2010-03

本研究は、遺族の悲哀に伴う医療者への怒りについて、何故怒りが生じたのかに関心をおく。今回、自宅で義母を看取った後、担当訪問看護師に対する強い怒りを感じた女性に、3 回の面接調査を行った。そこで語られた怒りの経験を再構成することで、訪問看護師に対する怒りの背景を探求する仮説モデルを作成した。死別後の訪問看護師に対する怒りは、死別後に訪問看護師から得られるサポートに対する不満によって生じると考えられた。またその不満は、訪問看護師に対するサポートの期待の大きさによって異なり、期待の大きさには、看取り前の信頼関係、看取りのあり方に対する自責の念が影響すると考えられた。
著者
神谷 潤子
出版者
日本赤十字豊田看護大学
雑誌
日本赤十字豊田看護大学紀要 = Journal of Japanese Red Cross Toyota College of Nursing (ISSN:13499556)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.189-196, 2015-03-31

インドのコルカタには、マザー・テレサが貧しい中の最も貧しい人々のために設立した多くの施設がある。それらの施設の活動は、マザー・テレサの死後も「神の愛の宣教者会」の修道女・修道士、世界各国から集まったボランティアによって維持され、今もなおスラムの人々の受け皿となっている。著者は2002 年と2011 年に、マザー・テレサの活動の原点であり、スラムの路上で瀕死の状態にある貧しい人々を温かく看取るための施設「死を待つ人の家」と、障害児を養育する「ダヤ・ダン」のそれぞれでボランティア活動を行った。本稿ではマザー・テレサの施設とコルカタの現状、そこで行われているボランティア活動を紹介する。そして、マザー・テレサの施設で行われていた「その人に関心を向ける温もりのあるケア」に患者の生命力を支える看護の原点を感じたこと、などの学びを報告する。
著者
水谷 聖子 加藤 章子 大橋 裕子 丹羽 さゆり 岡部 千恵子 水谷 勇
出版者
日本赤十字豊田看護大学
雑誌
日本赤十字豊田看護大学紀要 = Journal of Japanese Red Cross Toyota College of Nursing (ISSN:13499556)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.33-41, 2005-03-31

性感染症、人工妊娠中絶件数の増加など思春期における性の現状は、適切な性教育が展開されていない火急の課題である。思春期における性教育の一方法としてピア(仲間)による方法の有効性は言われているが、B県ではピアによる性教育は実施されていなかった。ピアによる性教育の現状をふまえ、ピア・サポーターを養成しピア・サポーターによる生や性の教育を市民講座に設定して実施した。講座には、事例、グループワークやワンポイントリレー講義を導入した。受講生にとって事例を用いたグループワークは事例を通して客観的に話し合うことができ、その体験を自分自身の価値観と重ねて考える機会になっていた。また、アンケート結果からはグループで話し合うことで価値観の多様性に気づき、話し合いの過程においてわからなかったことや知りたいことが明確になり、ワンポイントリレー講義を通して知りたかった新たな知識を習得していた。ピアによる性教育が効果的に実施されるためには、地域社会で性に関する問題を共有していく基盤が不可欠であることはいうまでもないが、今後は、ピア・サポーターの養成やピア・サポーターによる教育の効果測定など一般化に向けての検証や修正をしていく必要がある。