著者
酒井 佑 松下 陽介 松田 崇弘 山本 幹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.204, pp.37-40, 2003-07-11

本研究では,無線リンク上の誤り制御としてARQを用いた無線TCPの伝送特性に注目している.ARQは無線端末が固定の基地局と接続する静的な環境においてはTCPの性能改善に対して有効であることが知られている.しかしハンドオーバが発生する動的な環境では,基地局においてARQの再送処理によりリンクレイヤバッファに蓄積されたフレームはハンドオーバ時に廃棄されるため,必ずしも有効であるとは限らない.本研究では計算機シミュレーションにより,ARQのパラメータである最大再送回数に依存して,TCPの伝送特性はハンドオーバにより著しく劣化することを示した.本研究の結果は,移動通信では静的見地からだけでなく動的見地からもARQの設計を行う必要があることを示している.

1 0 0 0 OA ウイロイド

著者
松下 陽介
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.170-175, 2016-02-20 (Released:2017-02-20)
参考文献数
20

ウイロイドは最小の植物病原体であり,動物細胞からは検出例がないマイナーな存在である.また,環状のnon-coding RNA(ncRNA)という独特の構造である点においても特異な存在であった.しかしながら,近年,ncRNA, さらには200塩基以上のlong non-coding RNA(lncRNA)に関する研究が進展し,それらの生体内における役割や動態についても明らかとなっている.また,環状lncRNA(circRNA)が動物細胞から大量に見つかり,それらの役割についても明らかになりつつある.今後はウイロイドがマイナーな存在ではなく,自律複製能をもったcircRNAとして着目されることを期待したい.