著者
鶴 正人 内田 真人 滝根 哲哉 永田 晃 松田 崇弘 巳波 弘佳 山村 新也
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.16, pp.16_57-16_68, 2011-03-01 (Released:2011-06-01)
参考文献数
43
被引用文献数
3 15

インターネットは世界を結ぶ情報社会の基盤となっている.しかし,その基礎となるTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)技術の設計の中では,極端に長い通信遅延時間,頻繁なパケット損,間欠的な通信リンクの出現,などが発生する通信環境は想定されておらず,情報通信を必要とする環境の著しい多様化に対応するためには拡張が必要である.惑星間インターネットを起源に持つ,遅延耐性ネットワーク(DTN:Delay, Disruption, Disconnection Tolerant Networking)と呼ばれる技術領域は,従来のTCP/IP 技術では対応できなかった状況においてもエンドツーエンドの情報伝達を実現する枠組みとして誕生した.本論文では,従来技術をある程度知っている読者を想定し,近年研究が活発化しているDTN 技術に関して概説を与える.DTN 技術を時間的・空間的不連続性の下で非実時間通信を効率的に行うための中継技術として捉え,その基本技術である蓄積形及び蓄積運搬形転送に焦点を当て,標準的なアーキテクチャや,中継経路の制御手法及び中継データの符号化手法についての技術動向を概観する.蓄積(運搬)形転送は,従来のTCP/IP 技術の制約を超える新世代ネットワーク技術として進展が期待できる.
著者
酒井 佑 松下 陽介 松田 崇弘 山本 幹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.204, pp.37-40, 2003-07-11

本研究では,無線リンク上の誤り制御としてARQを用いた無線TCPの伝送特性に注目している.ARQは無線端末が固定の基地局と接続する静的な環境においてはTCPの性能改善に対して有効であることが知られている.しかしハンドオーバが発生する動的な環境では,基地局においてARQの再送処理によりリンクレイヤバッファに蓄積されたフレームはハンドオーバ時に廃棄されるため,必ずしも有効であるとは限らない.本研究では計算機シミュレーションにより,ARQのパラメータである最大再送回数に依存して,TCPの伝送特性はハンドオーバにより著しく劣化することを示した.本研究の結果は,移動通信では静的見地からだけでなく動的見地からもARQの設計を行う必要があることを示している.
著者
村田 真一 松田 崇弘 西森 健太郎
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J105-B, no.3, pp.229-239, 2022-03-01

無線信号が送出されている位置を推定する波源推定技術は,現在あるいは将来の無線通信技術における周波数有効利用のための一つの重要な技術である.本論文では,複数の無人飛行機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle)を用いて波源推定を行う技術について検討する.各UAVはアレーアンテナを搭載し,アンテナ信号処理推定された信号の到来方向(DOA: Direction of Arrivals) より,波源推定を実現する.波源とUAVの間で見通し内(LOS: Line-of-Sight)伝搬路が確保されている場合,複数のUAVで推定された到来方向を組み合わせることにより波源の位置を推定することができる.一方,波源とUAVの間が見通し外(NLOS: Non-Line-of-Sight)伝搬路である場合には,到来方向から直接波源位置を推定することはできない.本論文では,到来方向分布の広がりが波源とUAV間の距離が大きくなると狭くなることに注目し,NLOS環境における最ゆう推定を用いた波源推定手法を提案する.提案手法では,各UAVにおける信号の到来方向は単峰型の角度分布として知られるvon-Mises分布に従うと仮定し,複数のUAVで推定された到来方向よりゆう度関数を構成し,繰り返し推定により波源の位置とvon-Mises分布のパラメータを推定する.
著者
松田 崇弘
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第57回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.1068-1071, 2014 (Released:2016-03-02)

ネットワーク計測技術は,ネットワーク設計や信頼性確保のために必要不可欠な技術である.本稿では,ネットワーク内部に発生した故障箇所や異常トラヒックの発生を検出するためのネットワーク計測技術について紹介する.
著者
Abeysekera B. A. Hirantha Sithira 松田 崇弘 滝根 哲哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.628, pp.91-96, 2006-02-23
被引用文献数
1

IEEE 802.11規格の無線LAN環境では,アクセスポイント(AP)が下りフローを多重化しているにもかかわらず無線端末と同等のアクセス権しか割り当てられていないことから,複数の下りフローがAPで多重化されている場合,上下フロー間にスループットに関する不公平が生じることが知られている.本稿では,APにおけるMACプロトコルを改良することにより公平性を改善する方式を提案する.提案方式はMACプロトコルのパラメタであるコンテンションウインドを変更することによりAPに優位性を与える方式であり,APのMACプロトコルのみの改良で実現できる.また,パラメタの最適値は一般には上りフローと下りフローの数で決まるが,提案方式はAPを通過する下りフロー数のみに基づいた簡易な制御となっている.TCPおよびUDPトラヒックに対する提案方式の有効性をシミュレーションにより検討する.