著者
松井 陽吉
出版者
日本味と匂学会
雑誌
日本味と匂学会誌 (ISSN:13404806)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.189-196, 2003-08

最近お茶類に人気が出てきているのは茶系飲料が生活の中に定着したことや、様々な生理機能が解明されてきたことにある。水分補給や香味を味わうことで生活の潤いとして利用され、三次機能と呼ばれる生理機能を期待して消費されている。お茶が今日のように世界中で普及したのは大規模茶園と機械化が貢献してきたが、そのため香味を画一化して大量の生産ができるような体系にしてきた。ウーロン茶は発展途上にあり将来は緑茶や紅茶のような道を歩むかもしれないが、少量生産で茶農家独自の製法で生産されており、香味の多様性と魅力から見ると一律の香味である緑茶や紅茶に比べておいしさにかかわる点が異なって感じられる。お茶のおいしさを極めていくと、緻密な感性で生産されているため香味が多様でレベルが高いウーロン茶に行き着く。さらによりおいしいものを目指してゆっくり楽しむというお茶本来の姿もウーロン茶の飲み方の中に見ることができる。